第16話 今日から変身の練習です

「あらあら、まぁまぁ、これじゃあ変身の練習は無理そうね。でもまぁ、元に戻る練習はできるから良いでしょう。早く元の姿に戻れれば、変身の練習もできるかしら? ……いいえ、ダメね。それでもしも、元に戻ることが遅くなったら面倒だもの。さぁ、とりあえず、朝食を食べに行きましょう」


 ママの足元を走りながら、ご飯を食べる部屋に向かいます。今日はフレデリカじゃなくて、ターラが一緒だよ。

 僕のお世話をいつもしてくれるメイドさんは、フレデリカとターラ。順番なんだ。他のメイドさんもお世話しに来てくれるけど、いつもいてくれるのは2人なの。


 ご飯のお部屋に着くと、ターラがドアを開けてくれて、僕はパパの所に走りました。


「パパ!! おはよございましゅ!!」


「おはよう。……今日はモモリスか」


「おにいちゃ、おはよございまじゅ!!」


「おはよう。……可愛い」


「おはようルーパート。何だ何だ、もう練習してきたのか? 最初の練習はしっかり見たかったのに」


「違うわよ。いつも通り、起きたら変身してしまっていたのよ。だから今日は、変身ではなく、元に戻る練習をするわ」


 あのね、今日から僕、変身の練習をする予定だったんだ。パーティーの後、1週間してお爺ちゃんとお婆ちゃん達がお家に帰っちゃって。


 それから僕の、何かいろいろが終わって? なんかやらなくちゃいけない事が、いっぱいあったんだって。パパ達がそう言ってました。どんなことって聞いたんだけど、難しい事だから僕には分からないって、教えてもらえなかったよ。


 その僕のいろいろが、全部終わったから、今日から僕は変身の練習の予定だったの。でも朝起きたら、今日は僕の大好きなモモリスに変身しちゃっていました。

 元の姿に戻ろうとしたけど、ダメだったんだ。だから今日の練習は、元に戻る練習をゆっくりやりましょう、ってママが。


 朝のご飯を食べた後、今日もパパとレオンハルトお兄ちゃんは、お外にお仕事だから。練習前にお見送り。エリオットお兄ちゃんは、お家でお仕事だよ。


 エリオットお兄ちゃんも時々、パパのお手伝いのお仕事するんだ。でもこれから、もっとお手伝いのお仕事が増えちゃうみたい。僕、お兄ちゃんと遊ぶ時間が減っちゃうの、ちょっと寂しい。でもお仕事は大切だもんね。


「それじゃあ行ってくる」


「いってらっしゃい、あなた」


「パパッ!! いってらっしゃい!!」


「行ってきます母上」


「いってきましゅ!!」


「レオンハルト待ちなさい。胸にしまったルーパートを置いていきなさい。何しれっと連れて行こうとしているの。ルーパートも、行ってきます、じゃないわよ」


 ママがレオンハルトお兄ちゃんから僕を受け取ったよ。


「兄さん、残念だったな。最初の練習が見られなくて。俺はしぼとだけど、最初だけ見させてもらうぜ」


「何言ってるの、あなたもすぐに仕事よ。書類の見直しからしてもらわないと」


「そ、そんな!? 母さん、少しくらい良いじゃないか!!」


「それだとあなた、時間通りに終われないでしょう」


「フッ。だそうだ。早く終わると良いな」


「チッ」


「エリオット!!」


 パパとレオンハルトお兄ちゃんが、馬車に乗って街の中心に出発。エリオットお兄ちゃんは、ママに引っ張られて、お仕事をするお部屋に連れて行かれました。


 僕は練習する場所、お庭に行って、ママが来るのを待ったよ。ママは変身できないけど、変身のことを知っているから。忙しいパパの代わりに、簡単なことはママが教えてくれます。今よりも変身も元に戻るのも、上手にできるようになったら、パパが教えてくれるって。


「はぁ、あの子にもまいっちゃうわ。あれくらいそろそろ、完璧に出来てもらわないと」


 ブツブツ言いながら、ママとグロリアが歩いて来ました。

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