第17話 元に戻れないけど、初めての2回変身

「う~ん!!」


「ルーパート、そんなに力を入れて、踏ん張らなくても大丈夫よ」


「う~ん!!」


「どうしても力が入ってしまうわね。ルーパート、考えるのをやめて。そして最初からもう1度やってみましょう。それでできなければ、今日の練習は終わり。最初からいっぱい練習は良くないの。ゆっくり少しずつよ。でも、最後まで頑張りましょうね。終わったらお昼ご飯にしましょう!!」


「うん!!」


 僕の初めての変身の練習は、元の姿に戻る練習。でもいつもみたいに、全然元の姿に戻れません。


 魔法を使うって、しっかり考えながら、元の姿の僕を考えるの。今ままでは、魔法を使うって考えないで、元に姿だけ考えてたんだ。

 でも新しい事で、魔法をしっかり考える事を教えてもらいました。しっかり魔法を使うって考えると、それだけしっかり魔法が使えるようになるんだって。


 それからもう1つ、新しい事を教えてもらったよ。


 魔法を使うには、魔力っていうのが必要で。魔力ってね、みんなが生まれた時に、神様から貰う、特別な力なんだって。それで、魔法を使うときに、体の中からシューって流れるみたい。


 僕が何もしなくても、魔力は勝手にシューって流れてくれるんだけど、練習を始めたばっかりは、なかなかうまく流れなかったり、シューっていうのがちょっとしか出なくて、魔法がうまく使えないことが多いみたい。

 でも、練習していくうちに、いつでも魔法を使えるくらい、ちゃんとシューって流れるようになるんだって。


 今日、ママに教えてもらった事は3つ。魔力がシューって流れる。魔法を使うって、しっかり考える。僕の姿をきちんと思い浮かべる、だよ。


「ルーパート、頑張ってるか?」


 最後の練習をしようとした時でした。エリオットお兄ちゃんが僕達の所に来ました。


「エリオット、書類は?」


「その書類のことで、ちょっと調べたい事があるから、街の大通りに行ってくる。ちゃんとアレックスには言って来たから大丈夫だ」


「そう? なら良いけど。調べることがあるなら、最後までちゃんと調べないとダメよ」


「ああ」


 お兄ちゃんにの、お仕事のお勉強を教えてくれるのはアレックスです。でもなんか調べる事があるみたい。すぐに鳥に変身して飛んでいっちゃいました。


「それじゃあ、最後の練習をしましょう」


「うん!!」


 魔力をシュー!! 魔法使います!! 僕の姿は小さくて……。ママに教えてもらった事を、順番にやっていきます。でも……。途中でお庭のどこからか、モコレットの『チュウチュウ』って声が聞こえた気がしたの。


 モコレットはネズミに似ている魔獣さんで、木の実探しの名人なんだよ。焦茶色でふわふわの毛並みで。どんぐりみたいな木の実があるんだけど、その木の実の帽子を良くかぶってる、可愛い魔獣さんなんだ。

 

 それで僕は、モコレットの声を聞いた時思って、モコレットの事を考えちゃったの。そうしたら、ポンッ!! 


「あらあら、元に戻らないで、モコレットに変身しちゃったわね」


 ターラがすぐに鏡を出してくれて、見てみたら僕は僕じゃなくて、モコレットに変身してました。


「ママ!! 2かいへんしん、はじめて!! うれしい!!」


「たまたまとはいえ、先に難しい方ができてしまったわね」


「ママ、嬉しい!?」


「ふふっ、そうね、ママも嬉しいわ」


 あのね、パパ達はいつでも何回でも、魔獣さんから魔獣さんに変身できるんだよ。僕は初めて。初めて2回変身できたんだ!! ……どうしてできたのか分からないけど。


「これ、元に戻る時間が、2匹分ってことになって、自然に元に戻るまでの時間もいつもの2番、なんてことないわよね?」


「旦那様に、お知らせした方が良いかもしれませんね」


「そうよね、念の為に知らせた方が良いかもしれないわね」




          ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎× ⚪︎




『大変っチュ!? 俺の仲間が人間に囲まれてるっチュ!?』


 みんながこの家の人間達は、全員優しいって言ってたっチュ。でも、俺はまだ会ったことないっチュ。あの人間は大丈夫な人間達っチュか? 


 あの子、囲まれてるっチュ。俺よりもとっても小さな子っチュ。もしかしたら危険な人間かもしれないっチュ!! 助けた方が良いっチュよね!! 


 後で話しを聞いて、大丈夫な人間って分かれば、良かった、邪魔してごめんね、で終わるっチュけど。本当に危険な人間だったら大変っチュ!!


 待ってるっチュ!! 今助けるっチュよ!!

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