4 【地方誌の記事】 8月23日
昭和49年(1974年)8月23日付 朝刊社会面
【九州】山間の小村に突如、土砂崩れ
萱原村壊滅 生存者はわずか二十五名
– 夜中の突発災害、原因は不明 –
【本紙・九州支局】
21日夜、九州北部の山間部に位置する小集落・萱原村(人口約300名)で大規模な地滑りと土砂崩れが発生し、集落の中心部を含む広範囲が土砂に呑まれた。発生当時、村では「焚駒祭」と呼ばれる夏祭りの片付け作業が行われており、十代から二十代前半の若者たちは一部離れた山裾にいたことで、奇跡的に難を逃れたという。
現在までに確認された生存者は25名。被災した中心部では住民の大半が犠牲となった模様であり、倒壊家屋や焼失した建物の中からは複数の遺体が発見されている。現地に派遣された警察・消防・自衛隊によると、地滑りと同時に火災が発生した形跡があり、土砂の堆積により原因の特定は難航しているという。
村出身の生存者によれば、「過去にこれほど大きな崩れはなかった」と証言。地盤の緩みに加え、祭りのために灯された大量の篝火との因果関係も含め、専門家による調査が進められている。
被災直前に村内では轟音が響いたとの証言もあり、住民の間では「地下から突き上げるような音があった」との声も。だが、地震計には目立った揺れの記録がなく、突発的なガス爆発や古い鉱山跡の陥没など、複数の仮説が挙がっている。
萱原村は古くから外界との交流が少ない山間集落であり、人口の減少と高齢化が進んでいた。今回の災害により、事実上、村は壊滅状態となり、今後の復興・存続について県当局も協議を始めている。
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