before:3(turn)

 やばい。その言葉を使うとIQが下がるという話を聞いたことがあるけど、やばいときか言えないときもあるよなーと思う。

 あのレコードは海外から仕入れた入手困難の逸品。今を逃したら次の入荷はいつになるか。

 未収録曲6曲の魅惑に食らいつかずにはいられない。そんな生き物なんだ、ゲーマーってのは。

 列車がメインシティに到着すると、アタシはドアを殴り破るみたいに開けて走った。改札口も同様。

 ゲームショップまではそこまで遠くなかった。走って大体五分かかるかどうか。

 だからまぁ着いたには着いたんだけど、遅かった。なにもかも遅かった。

 レコードは完売していて、もう跡形もない。アタシはその場に崩れ落ちたい気分だった。

 なにがなんだってこんな気持ちにならなくちゃならない。アタシはここまで息を切らして走ってきたじゃないか。

 とてつもなく悔しい。けれど、少しだけうれしい気持ちもあった。

 自分の好きなものを、他の誰かも好きであること。アウトシティだかメインシティだかわからないけど、兜散盧鼓を好きな人がこの国にいたのだということに感激する。

 だから悔しさと嬉しさが入り混じった感情だったわけだけど、しかしそれは一瞬にして消え失せた。

 レコードが陳列されていたであろう棚の奥、1枚の紙。

「君の欲しいモン、買い占めちゃった。欲しーなら精々探してみれば?」

 アタシの心情は怒りで塗りつぶされた。

 買い占め?ふざけるんじゃない。許されるわけがない。

 怒りのままに紙を破り捨ててやろうかと手を伸ばしたが、あることに気づいて手を止めた。

 紙の一番最後には、なにやら不思議な文字列があった。

https://kakuyomu.jp/works/16818622177498477126…なにこれ?

 私は棚から紙を強引に剥がし、じっくり見た。

 けれど分からない。何かの暗号かな、と思ったけど、それにしたって汚い構成だし。

 ううんと頭を傾き、アタシはなんとなくその文字列を指でなぞってみ1234578910xyz12ztobefore:2

 

 















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