3巻 3章 6話



プロテア砦。


朝からドーン、ドーン、カーン、カーンと木槌や金槌の音が響く。エイムスとオースティンは山エリアA棟の裏庭で馬具の手入れをしている。


ゴーリ、ゴーリ、カンカンカン。

ポレポレは玄関ポーチで大きな鍋に毒消し草をたくさん入れ掻き回している。


ゼブ、ギャレット、ブレイズはトマトエリアA棟の裏庭で銃の手入れをしている。


ゼブが銃をテーブルに置いて言った。「まだヴァル達は帰って来ないか?」


「そんなに早く帰って来れないでしょ〜。」ブレイズが弾を並べながら返事をした。


「彼ら車も馬もすごいね。ハニーちゃんは大砲付きのド派手な車乗ってるし、クラウンくんは今朝、見た事ない黒馬を呼び寄せてたよね。他の馬には乗れないって不思議だよ。」ギャレットは銃身の掃除をしながら微笑んだ。


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ブラストはプリミティブ・ステーションの近くの海岸に座ってペンギンのファミリーと海を見ている。ぼーっと遠くを眺め、気持ちのいい潮風を感じた。ペンギンのファミリーがトランクを持ってペタペタ歩いて海に向かって行く。ブラストも立ち上がり浜辺の横にある防波堤に向かって歩いた。


小さなモーターボートが一隻近づき、船頭が大声で手を振って呼んだ。「ギルドのブラストさんですかー?」


「そーでーす。」ブラストは両手を上げて手を振った。


「お待たせしました。砲撃用の弾薬10個。領収書中に入れてますからー。」


船頭は防波堤にボートをつけて、弾薬の箱を下ろした。


「ありがとうございます。あの、浜辺からペンギンの親子が泳いで行きましたよ。」ブラストは泳ぐペンギンのファミリーを指差した。


「あれー?こっちこっちー。」船頭はエンジンをかけてペンギンのファミリーに近づいた。


船頭が少し進むと、ペンギンのファミリーは次々と小舟に飛び乗った。ペンギンの父親はブラストに手を振った。ブラストも手を振った。


ブラストが箱を抱えて歩いていると、クラウンが浜辺をナイトメアで駆けて来た。


「ゲットできたー?」クラウンはナイトメアから降りた。

「できたよー、そっちはヒットした?」

「イカロス使ったらヒットしたよ。エイムスさん達の噂通りの所に居たよ。」

「チョコちゃーん、ガーサス。よしよーし。」ブラストはドッグスリングから顔を出したチョコを撫でた。


ハニからメッセージが届いた。

「ステーションでバギーのレンタルも出来たから、虎徹さんのバイク載せて、これからそっちにピックアップに行くね。」


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しばらくして、エイムスからトランシーバーに応答があった。


「ゼブ、ヴァル達帰って来たぞ。作戦会議はそっちに集まるか?」


「こっちでやろう。エイムス、みんな無事か?」


「ああ、みんな無事だ。良い知らせだ。噂通りの所にアイツはいたぞ。」


「そうか。いよいよだな。待ってる。」ゼブはトランシーバーを机に置いた。


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翌日、討伐の日。

朝日が昇る。


ハンター達の馬とナイトメアは仲良く放牧地の中を並走したり、寄り添ったりしている。


ハンター達は馬に鞍をつけたり支度をしている。クラウンはナイトメアを柵から出して撫でた。チョコはドッグスリングから顔を出し、ナイトメアに鼻を近づけ挨拶した。


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プロテア砦の北西の入り口に集結した。ポレポレにモナコ、砦で働く者達は見送りに来た。


ギルドのみなはワッペンを合わせた。虎徹はバイク、ハニはカエサルを運転し、後ろの砲台にはブラストを乗せている。スノーとヴァルはそれぞれレンタルしたバギーでエンジンを吹かす。

ハンター達の馬もエンジン音に鼻息を荒くした。クラウンはナイトメアに跨り、北西の滅びた街へ出発した。


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馬で移動しながらクラウンとゼブは会話している。


「手配書のピストルプルーフってピストルで撃たれても大丈夫って意味?」


「そうだな。誰も本名なんて知らないんだ。」


「ヒューマノイドタイプなのかな?」


「いや、俺が殴った時は前歯が飛び散って血を流してた。」


「それで前歯が全部、金歯なんだ。」クラウンは手配書の顔を思い出してクスっとした。


「もう7年前の話だ。アイツら農園や街を略奪して回ってる。数年前にハンターだけで討伐隊を立ち上げて挑んだ時も、エイムスやギャレットにやられても、しぶとく生きてやがる。これから行くのも、滅ぼされた街だ。気をつけろよ。アイツはしぶてーぞ。」ゼブは振り返って言った。


クラウンは真剣な顔に戻って、うなずいた。


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丘の上にハンター達とクラウンは騎乗して並んだ。


ゼブが銃を片手に手を挙げた。

「討伐開始だー!ホゥ!」


「ホーゥ!!」

みなも手を挙げ、声を上げ、一斉に駆け出した。


枯れ木に止まった鷲が天高く飛んで行った。


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続く。

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