ディアのプロポーズ

【写真集発行とサイン会】

神々の任務が終了した数日後、イケメン達の写真集が発行された。


タイトルは【神々の化身】だ。



「でもさ、良くシェンさんが許可したわね。結局シェンさんも載っちゃったし。」



「破壊神と維持神が載ったら創造神もってなりましたからね。神妃も一緒に載せちゃうし。思ったんですけど、神々って結構目立ちたがり屋じゃないですか?化身を解いた姿まで載せちゃって……。」



「シェンさんが許可したから良いんじゃない?私としては売れれば文句なしよ。」



その内容はこんな感じだ。


5組の夫婦が、本来の姿で乗り物ヴァーハナに乗っている姿と、化身した姿で載っている。

インドラは普段の化身した姿も載せた。


それぞれに説明書きも載せ、神々の事が分かるようになっている。


残りは神々の格闘シーン。

神器を構えた姿や組み合っている姿。


神妃達は豊かな自然をバックに微笑んでいる。


サラスヴァティーのヴィーナーを奏でている姿や、ラクシュミーの歌っている姿。


神々が楽器を奏でている姿に、ナタラージャとして踊るシヴァと共演するパールヴァティー。


シャチーの優雅な舞いに、シャスタとシルビアの剣の舞い。

そしてシルビアの扇の舞いだ。


男女共に満足できる作りの写真集。

乗り物ヴァーハナ達の写真も数枚載っていた。


これで子供達の心もがっしり掴むだろう。



「こうして見ると欲張りすぎていませんか?売上アップの為にやりすぎた様な気もしますね。」



「文字通り売上アップの為よ。全てはFLAGの為なんだから。」



そう言って笑っている二人の所にソフィアが駆け込んで来た。



「すっごい反響よ!サイン会とかの問い合わせもいっぱい来てる!サイトの方にも書き込みがすごいのよ!」



「落ち着きなさい、ソフィア。興奮しすぎですよ。」



「だって売り切れ状態で買えないってコメントで埋め尽くされてるのよ?早く増版の手配しなくちゃ。」



「じゃあ手配しておくわ。来月の学園祭前にサイン会もやっちゃいましょ。前みたいに寄付集めもしてね。」



「撮影会もするんでしょ?神々に集まってもらわなくちゃね。」



それぞれが、それぞれの手配の為に慌ただしく動く。



そしてサイン会当日。

控え室では神々がそわそわしていた。



「儂は大会の時の姿で良いんじゃな?」



「私とラクシュミーは普段の姿ですね?」



「ええ、宜しく。あ、ガルダは鷲の姿よ。んーと、ナンディンも来てるし、来られないのはアイラーヴァタだけね。」



さすがに象は無理だし、牙が4本だと怪しまれるからと、残念そうに彼女が言う。



「そのくらいなら隠せるぞ?あやつも来たがってたからな。おぬしと遊びたがっておったわ。」



写真撮影の時にたっぷり遊んだのだが、やはり神獣はシルビアにメロメロだった。



「ったく、ほんと女神で良かったよな。神獣を手玉に取りやがって。」



「あはは、魔族だったら神々に大ダメージですもんね。」



「はっはっは、それは大袈裟ではないか?ではあやつを連れて来るとしよう。どこに降りれば良いのじゃ?」



「裏のナンディンがいる所にお願い。」



了承したインドラが天界に向かった。



「パパ、ママ、そろそろ始めるけど準備OK?」



「えーと、皆さん良いですか?」



頷いた神々と神獣を引き連れ会場に向かった。


現れたメンバーに黄色い声が響き渡る。


遅れて登場したシヴァとインドラは、ナンディンとアイラーヴァタに乗っていた。

巨大な白い象の登場に会場は盛り上がる。



「はっはっは、注目の的じゃな、アイラーヴァタよ。」



〈んー、そんな事より遊びたいなー。あっ、いた!〉



シルビアを見つけたアイラーヴァタが歩を速める。



「こら!止まらんか!……まったく、儂の言う事も聞かぬとは……」



かぶりを振りつつ、シャスタの言葉を思い出す。

やはり神々に大ダメージだと苦笑した。



「きゃあ!もう、アイラーヴァタったら!」



長い鼻に巻き付かれ、持ち上げられた。



〈何して遊ぶー?あ、背中に乗るー?〉



「遊ぶのは後よ。愛想良くしてね。FLAGの未来がかかってるんだから。」



〈はーい。絶対遊んでよ。〉



納得したアイラーヴァタがシルビアを降ろし、サイン会が始まった。

写真集を手に、お気に入りの神々にサインを貰うファン達。


神獣達は一カ所に集まり、子供達の相手をしている。


ここを仕切っているのはティムとディア。

ガルダが神獣達の通訳として対応している。


一段落つき、神獣達に水を用意する双子達。



「いいな~、おじいちゃんとおばあちゃん。ディアも乗り物が欲しい……。」



「乗せてもらってるから良いじゃないか。ディアは女神じゃないから貰えないだろ?」



「貰えるとしたら何が欲しいんですか?」



尋ねたガルダをじっと見つめるディア。

その瞳はキラキラ輝いていた。


シルビアのミニチュア版にドキッとする。



「空を飛べる鳥が良い!クジャクもきれいで良いけど、猛禽類ってかっこいいし!ディア、ガルダが欲しい!」



「だから貰えないだろって。ガルダはヴィシュヌ神の乗り物なんだから。」



ティムに言われて考えた。

どうすればガルダを貰えるのだろうと……。

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