【久しぶりの再会】

「お前らちゃんと仕事してんだろうな?任務忘れてイチャイチャしてたら許さねぇぞ。」



「してませんよ。神の任務が優先でしょ?」



「良いじゃない、ちょっとくらいイチャイチャしたって。」



「お前なぁ……。俺に子守り押し付けといてそりゃねぇだろ?俺だってイチャつきてぇのによ。」



「じゃあお詫び。これで我慢してね。」



笑って口づけるシルビアに満足するシヴァ。



「相変わらず心地よい愛情があふれていますね。」



と、天界に戻って来たヴィシュヌに声をかけられる。

振り向いたシルビアが満面の笑みで駆け寄った。



「きゃあ、久しぶりね、あ~ん、格好いい……。」



彼女の目当てはヴィシュヌの乗り物ヴァーハナのガルダだ。

首に抱きつき、すりすりしている。



「はは、お久しぶりです、シルビアさん。」



シルビアに抱きつかれ、照れ照れしながら挨拶する。

あの宴会以来会っていなかったのだ。



「ガルダったら全然遊びに来てくれないんだもの。みんなシャンプーしちゃったわよ?」



「す、すみません。何かと忙しくて……。」



ヴィシュヌに視線を移して彼が言った。



「あっ、まさか嫌がらせ!?妬んでガルダをこき使ってるんじゃないでしょうね?」



「嫌がらせなんかしませんよ。忙しかったのは事実ですからね。」



「じゃあ、この任務が終わったら遊びに来て下さいよ。シルビアが待っていますからね。」



微笑むシャスタに頷くガルダ。

あの夜語り合った互いの類似点。

ある意味分身のガルダには嫉妬心が起こらない。



「あ、シャスタ、次行かなきゃ。」



「そうですね。では私達はこれで。」



笑って手を振り姿を消す二人。

残されたヴィシュヌが首を傾げていた。



「ガルダに全然嫉妬していませんね。どうしてです?」



「あー、何かコンピュータ時代の自分に似てるんだとよ。」



「あ、なるほど……。触れ合えない分、愛情を注いで彼女の望みを叶えていましたね。笑顔が見られるなら何でも出来る。そう言っていましたね……。ガルダも同じ事言ってましたよね?」



「はい。彼女の為なら何でも出来ます。」



きっぱり言い切るガルダに苦笑するヴィシュヌ。



「だったら遊びに来いよな。アニマルパラダイス、すっげぇ楽しみにしてたんだぜ?お前がいない分ガネーシャのネズミチューハーで我慢してたけどよ、ず~っとぼやいてたんだからな。」



「何でシヴァまで嫉妬しないんです?」



「こいつ無害だからな。それに俺もシルビアに喜んで欲しいし。やっぱ笑顔が一番だろ?」



確かにとヴィシュヌが同意する。

ガルダもこくこく頷いていた。



「さて、私達も行きますか。子守頑張って下さいね。」



「何ならファルミナも預かるか?」



「いえ、結構です。愛娘を他人任せになんか出来ませんよ。」



「んな事言って、宴会の時は放っといたよな。」



「あ、あれは、その、止まらなくて、」



「な?文献に書かれてる俺とパールヴァティーの事分かったろ?」



恥ずかしそうにヴィシュヌが頷く。



「魂レベルの相手ですか……。私にも居るんでしょうか……。」



「居るだろ。魂レベルは無くても運命の相手は居るだろーよ。ま、今はシルビアに惚れてるくらいだから……相手がまだ生まれてねぇか、適齢期に達してねぇかだな。」



相手が16歳になっていなければ、それは分からないのである。



「何か最近神々も子供作ってるしよ、そのうちお前の相手も見つかんじゃねぇの?って、セフィーナは渡さねーぞ!?」



「あはは、可能性はありますね。あっ、ファルミナも渡しませんからね!?」



「先の事は分かりませんが……今はシルビアさんが最愛の女性です……。」



それを聞き、フッと笑う。



「早く見つかりゃいいな。相思相愛の相手。」



今はシルビアを愛していたいと言うガルダ。

好きにしろと笑うシヴァ。


そのまま下界に降りて行くヴィシュヌ達。


新年を迎えた神々の任務は、あと数日で終了する。

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