【日本にもファンはいるのよ】
数ヶ所の神社や寺を廻り、とある神社に降臨する。
「きゃっ、ここの御守り可愛い!やん、ペット用もある~。ね、買っても良いのかな?」
「良いんじゃないですか?でも先に任務をしないと。」
「は~い。あれ?ペットも一緒にお参りしてる……。変わってる神社ね。」
御守りに念を入れながら、参拝者の様子を見て彼女が言った。
「ここはペットの同伴が許されているようですね。私達も後でお参りしましょうか。」
「する~。あ、でも黒豹でも大丈夫かな……。」
「神主さんに確認取ってみますね。」
そう言って移動したシャスタが神主に話しかける。
ビクッとした神主がキョロキョロしていた。
「か、神の声……?」
それを聞き、ハッとした。
姿を消したままだったのだ。
「失礼しました……。私は知識を司る神シャスタです。姿を見せますが驚かないで下さいね。」
そう言って姿を現すと、驚いた神主が腰を抜かしてしまった。
突然、黒豹に乗ったチャイナ服の男が現れたのだから仕方がない。
指をさしたまま口をパクパクしている。
「大丈夫ですか?驚かせてすみません……。何しろ神になってまだ1年なもので……。」
神主の抜けた腰に、創造の光を浴びせて治療する。
「ほ、本物の、神様、が、家の神社に、」
感激しているのか、涙が滲んでいた。
「シャスタ!正体明かしちゃ駄目じゃないの!」
「女神様もいらっしゃるんですか!?」
声だけのシルビアに、神主がキョロキョロする。
「あ、はは、ついうっかり……。で、でも大丈夫だと思いますよ、神主さんですし。」
「まったく……。私の仕事を増やさないでよね。」
ため息をつき、姿を現す。
チャイナドレスを着た美しい女神に見惚れる神主。
「初めまして、愛を司っている女神シルビアです。あ、他言無用でお願いしますね。」
「はい、神々にお会いできて光栄です……。」
言いながら、首を傾げる。
良く見れば見覚えのある二人だ。
「あ……れ……?もしかして……シヴァ神と女神ドゥルガーでは……?」
「わ、ご存知でしたか……。神になる前の生活をそのまま続けているんですよ。」
「大好きなFLAGから離れられなくて。あ、依頼があれば引き受けますよ。」
無言のままこくこく頷く神主。
自分の知っていた人物が神だったのだ。
言葉が出なくて当然だ。
「あ、それでOKなんですか?」
その質問にきょとんとする神主を見て、シルビアがため息つく。
「まだ話してないのね?もう、シャスタったら……。」
「いや、でも、腰を抜かしちゃいましたし、話す間もなくシルビアが来て……。」
「じゃあ私から話すわ。神主さん、ペット同伴でお参りしたいんですけど、黒豹でも大丈夫ですか?」
一瞬、その質問の意味が分からなかった。
理解した神主がこくこく頷く。
「神獣なら大歓迎ですよ。一応リードを……いえ、必要なさそうですね。あの、わざわざ参拝にいらしたんですか?」
「いいえ、任務の途中なのよ。ちょっと変わった神社だったから、ついでにお参りしようと思って。」
神々がお参りすると聞き、首を傾げる。
「あはは、下界では人間として暮らしていますからね。あ、学業と縁結びの御守りがまだあるんでしたら念を入れてあげますよ。巫女さんのいた所にあった御守りにはもう入れましたから。」
お願いしますと御守りを差し出す神主。
笑って念を入れ、いったん姿を消して神社の外に出た。
「ところで、御守りを買うお金は持ってるんですか?」
「あ……ドルしか持ってない……。どうしよ~。」
「はは、心配ご無用です。こんな事もあろうかと用意していました。なんて言って、本当はデート費用にするつもりだったんですけどね。」
笑うシャスタに抱きつくシルビア。
デートをするつもりだったと聞いて嬉しかったのだろう。
感謝のキスを贈る。
「貴方ってほんと素敵……。私の心、ちゃんと分かってるじゃない。」
「この任務が始まってから二人でゆっくり出来ていませんでしたからね。ですから、一緒に日本を廻ろうと思っていたんです。任務の合間にデートを楽しんだりしながらね。」
「あん、もう大好き。最高の旦那様ね。」
よほど嬉しかったのか、腕に抱きついた彼女がごろごろする。
そんな彼女を慈しみながら参拝するシャスタ。
そんな姿を見て、二人に気づいた日本のファンが集まり出した。
「あ、あの、シヴァ神様とドゥルガー様ですよね?サインお願いできますか?」
ぎこちない英語で話しかけられ微笑む二人。
「日本語で大丈夫ですよ。あ、でも少し待ってもらえますか?先にお参りしちゃいますから。」
「ごめんね~。アゴスとフィリアを祈祷してもらうの。」
後で時間を作るからと、笑ってファン達と別れる。
賽銭箱にお金を入れ、願を掛ける二人。
と、シルビアがくすくす笑い出した。
「何がおかしいんです?」
「ん?ふふ、貴方のお願い、ちゃ~んと叶うわよ?」
ウインクされ真っ赤になる。
彼女は愛を司る女神だった。
「はは、ずっとラブラブ生活……ですね。貴女のお願いも叶うと思いますよ。演武の大会で優勝して資金稼ぎ。」
「あ、そっか。貴方も戦いを司ってるのよね。やぁだ、願い事筒抜けね。」
顔を見合わせ笑い出す。
そのまま移動し、御守りを買った。
両親と娘夫婦。
孫と甥と姪、そして子供達。
自分達とシヴァ夫婦。
アゴス達の分を買い、清算する。
「全員の分はちょっと無理ね。18個で180ドルだもの。御守りって結構するものなのね……。」
「高価な分ちゃんと御利益ありますよ。さ、次はアゴス達の祈祷です。」
低姿勢な神主に苦笑しつつ、二匹を祈祷してもらう。
目的を果たし、次の任務地へ向かおうとして思い出した。
「ファンにサインしなくちゃ……。シェンさんに怒られそうだけどね。」
「はは、ささっと済ませてしまいましょう。」
そして約束していたファンサービスをする。
程良いところで切り上げ、天界に移動してシヴァに荷物を預けた。
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