星になる
miko
第1話
深夜0時
灯りのない街が明るく照らされ始めた。
今日も、星は綺麗だ。
君が見ていないことを祈る。
—————————————————
僕が生きているこの世界では、
諦めることばかりだった。
初めは誰もが抵抗した。
自分の頭で考えていたから。
しかし、大切な人を盾にされた時、
人は考えることを諦める。
誰かの指示に従い、
国のためと信じる方が楽だった。
人は、極限状態に陥ると楽な方に流されるとは、よく言ったものだ。
サイレンが鳴る。
逃げ惑う人などいない。
そばにいるのは、考えることをやめた、
人の形をした ただの兵器だ。
死ぬのが怖いと思ったのは最初だけだった。
最期まで死にたくないと繰り返すやつもいたが、そんなのは数えるほどだった。
— — — — 国のため?
轟音と共に降り注ぐ星が、地上に花火を落とす。
— — — —果たして本当にそうだろうか。
弾けた小さな音を合図に、
腰にさした杖を引き抜いて馬のようにぞろぞろと駆けていく。
— — — —僕はただ。
目にした景色を伝え合って、
次は2人で行こうと約束して。
目が覚めれば、
当たり前のように君がいて
おはようとおやすみをただ繰り返す。
そんな、
映画や小説になんかならないような日常を
「当たり前」と思えるような日々を。— — —
数歩先で花火が弾け、身体が浮き上がった。
魔法使いのように空を飛ぶ。
— — —君と明日を生きたかった。
今日も星は綺麗だ。
君が見ていないことを、祈る。
——————————————————
【あとがき】
はじめまして、mikoです。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。
人生初の超短編小説に挑戦しました。
読んでくださった方の想像に任せたい部分もあり、わかりにくい言葉もあったかと思います。
明るい話ではないですが、決して暗く何の希望もないような話にはしたくありませんでした。
誰かの心に届くような小説をこれから書いていきたいです。
どうぞよろしくお願いします。
星になる miko @kinoko88
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