第14話 Finale
「ソーラ!」
ボロボロの勇者が森から出てきた。その体を腕で止める。
「何すんだよ! お前!」
今のは邪魔してきた私と、女の子……ソーラに襲い掛かってる兄さんへ。
手を伸ばすけど、抱きしめて逃がさないようにする。
今は兄さんが狩りをしてる所だから、邪魔はさせられない。
「これ以上──暴れたらわき腹を折って殺す!」
「ソーラ! ソーラ!」
腕に力を込めてホントに折る。
「うぶっ……!」
オスの口から血がこぼれて、私の腕にかかる。
「ソーラ……俺間違ってた……俺お前にずっと助けられてきたのに……一人じゃ何もできなかった……お前が一番大切なのに……」
犯されるソーラを掴もうと伸ばされた手は、しかし虚空を掴むだけだった。
いつしか力も尽きて手が降りる。紐の切れた人形みたいに項垂れる身体を、しかし私は抱きしめている。
……視界がにじんでいけばいいのにと思う。
だけど涙は流れないから、兄さんがソーラを犯す光景をじっと見ている。
仕方のないことだ。別に、兄さんのことは憎んでない。
ソーラと勇者を……憐れんでもいない。
でも……あまりにこの状況は悲しすぎる。
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