第6話 Forest - 遭遇

 助けを求めて草原に戻った。

「アイリーン!」

 でもそこにアイリーンの姿はなく、荷物だけが残されていた。


「どこ行ったの……? アイリーン!」

 名前を呼ぶ声は暗い森の中に吸い込まれていく。

 パン、パンどこかで破裂音がする。彼女の魔法の音ではない気がする。

 まさかアイリーンまで魔物に襲われている?

「くそっ……!」

 音のする方向へ向かうことにした。


 ──これから見た光景は、最初は理解することが難しかったし……今も本当の所では理解できてない気がする。そんなことを言ったら『彼』に、『別に意味なんてないさ。ただ、見たままの光景だよ』と言われるだろう。


 暗がりに浮かんでいるのは白い影。

 浮かんでいるのは体が持ち上げられているから。

 白い影は……服を脱がされたアイリーンの肌。

 持ち上げているのは、灰色の肌をした巨体の魔物。

 隆々とした腕には神話の英雄の様に……血管が波打っている。

 

 そして何より恐ろしいのは、二人の身体がつながっていること。

 魔物の腰から伸びた棒がアイリーンの脚の間に突き刺さっている。

 棒は軽い木の幹ぐらい太い。

 半分ぐらいがアイリーンの身体に埋まっているように見える。

 つまり半分しか入らないぐらい長い。

 大きい手に腰を支えられたアイリーンは、他に支えがないから空中で背中を逸らしている。上を向いた顎。目は白目をむく寸前で留まって……言ったり来たりしてるようだった。

「やめてぇ……い、だっ……ぁ!」

 魔物の太い腕を掴んで引きはがそうとするけどびくともしていない。

「ああ……!」

 起死回生の一手だったのだろう、そらしていた背中をはね上げて、口から火球を放つ。

 火球は魔物の顔に直撃する。しかし、波打つ髪を少し焦がしただけだった。

「……」

 魔物は一言も発さない。動物らしくない……ちゃんと理性があって、それで黙っている。

 その目は何を語ってる?

 ──魔物の腕が動く。

 アイリーンの身体を前後に動かす。二人を繋げていた太い棒の幹が見え隠れする。

 その動きは……セックスみたい。

 理由は分からないけど、魔物がアイリーンを犯している。

 私たちに交尾を迫る魔物は……いたっけ?

 ゴブリンたちが人間をからかうぐらいだろう。

 あとは……魔物側からじゃなくて、人間が……例えば精子をかけることで、人間の子を産むスライムがいたぐらい。

「うあ……」

 いつもすましたアイリーンの顔が痛みと恐怖と屈辱に歪んでいる。

 ……こんなこと思ったら不謹慎だけど、私はちょっと快感だった。

 アレクを犯したアイリーンが魔物に犯されている。

 罰にしては重すぎるけど……でも、私だって少しは喜んでいいだろう。

「hu……」

 今まで平然としていた魔物の口から息が漏れた。

 すると棒が刺さったアイリーンの股の間から、白い液体がドバドバと流れ出て来る。

「ah……」

 太い棒が引き抜かれる。棒が抜かれても、アイリーンの股には穴が開いたままだった。

 太すぎたのだろう。閉じることなく、脚の間に空間が出来ている。

「gah……」

 魔物はアイリーンの身体を持ったまま、木の幹に腰を下ろした。

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