天職「初心者」

いじき

第1話 天職「初心者」

-誰もが10歳、つまり成人になると神殿に行く。天職を知るためだ。別に職業を知ったからといって必ずしもその職に就くとは限らない、自分のやりたいこと好きなことと一致しているわけではないからだ。さらにいうと天職がない人だっている、そういう人は”NPC”と呼ばれる。-



 俺は別に天職がなくてもいい、生まれた時から運がなかったし、当然天職はないだろうと思ってる。両親ともにNPCだし、だからといって両親は幸せそうに農家として生きている。

 

「とうとう俺も成人か~」

「アクトが成人になるなんて信じられないわ!はいはいしてたのが昨日のことのように思い出せるのに!」

「やめてくれよ、母さん。俺だってまだ子供のままで過ごしてたいさ」

「そうだぞ、これからこいつはいろんなことを経験してもっと大きくなっていくのさ」


 裕福というにはあまりにも質素な暮らしをしていたが、別に不満はなかった。両親は俺のことを愛してくれたし、そんな俺も両親を愛していた。


「じゃあ神殿に行ってくるよ、たぶんすぐ帰ってくる」

「おう、気を付けていくんだぞ!たまには友達と遊んで来いよ!」

「気を付けて!」

「うん・・じゃあね」


//----------//


「ここが神殿か・・・」


 母さんの買い物について行って目の前を通り過ぎたことは何度かあったけど・・・でかいな


「君も成人かい?」

「は、はい・・」

「じゃああっちで受付してね、あそこの人に話しかければいいから」

「ありがとうございます」


「じゃあここに名前書いてね」

「はい・・」


バキッ


「あ!ご、ごめんなさい!」

「いいよいいよ、もう古かったのかな?こっち使って」


 昔からずっとこんな調子、生まれたときは助産師さんが俺のこと誤って落としちゃったらしいし、ただ道を歩いていたら小石がどこからか飛んできたり、まぁ運がない。


「これから一人ずつ呼びます。では、・・・・」


 今まで、本当に天職なんていらないと思ってた。いや、本当に。嘘だ。本当は楽しみで仕方がない。当り前じゃないか。人生で一度切り、もしかしたら俺の人生が誰もがうらやむ王様みたいなものになるかもしれないのに!


「農民の息子、アクト」

「はい!」


 最悪NPCじゃなかったらいい!木こりでも、農民でも、天に決められたもの、俺が他とは違うってことを、俺が特別なんだってことを俺が認めてやりたい!


「天職・・”初心者#$%0)&%"?」


 ”?”ってなんだ?で、でも俺は天職ある!あるんだ!


「初心者ってなんだ?」

「聞いたことないぞ」

「でも初心者って職業なのか?」

「し、司祭様!俺は、俺には天職があるんですよね!?」

「あ、ああ。だがこの職は・・・これまで何十年も天職の儀を行ってきたが、こんな職は聞いたことがないな・・・」


【こっからT$%&%%'(】


 なんだ?なにか聞こえたような・・・


「司祭様、俺はどうしたらいいんですか?」

「うーむ、まだまだ天職の儀は長いのでいったん保留とする。次・・」

「え?」


//----------//

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天職「初心者」 いじき @izik

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