精緻に織り込まれた言葉が、言葉にならない思いに言葉を与えてくれます。響きあう音、淡い恋情を感じさせる十首の歌が、遠いどこかの返らない日々を連れてくるようです。丹念に編み込まれた、和風タペストリーのような歌集です。
二人の関係性を随所に花を用いた短歌で描いた本作は、その美しさを感じさせた。特にキャッチコピーの一首。赤と青 痛く鮮やか 混ざる二人差し出す傘に 紫陽花となる花が二人の関係の尊さを表現してるのかな、と思った。