星の音を聴く子
sui
星の音を聴く子
深い森の奥、空と大地のあいだに、リリアという小さな女の子が暮らしていました。リリアはとても優しい心を持っていましたが、すぐに胸がドキドキして、言葉がつまってしまうのです。お祭りの日も、歌を歌う日も、誰かと目が合うだけで、心がふるえてしまいました。
ある夜、リリアは眠れずに、森をそっと歩いていました。すると、小さな光が木々のあいだから舞い降りてきました。金の羽を持つその光は、リリアの肩にとまり、静かにささやきました。
「あなたの緊張はね、心がとても澄んでいる証拠。星たちは、そんな心にだけ、自分の音を聴かせるのよ」
そう言って、光はリリアを連れて、空の湖へと導きました。湖の水面には星々が映っていて、それぞれがやさしく揺れて音を奏でていました。リリアは耳をすませました。すると胸のざわめきの奥から、小さな音が聴こえたのです。
それは、自分の中にあった勇気の音。ずっと隠れていたけれど、ちゃんといたのです。
「わたしの声も、星みたいに揺れてるんだね」
リリアはそっとつぶやきました。
その日から、リリアは少しずつ変わっていきました。緊張しても、心が震えても、それは星の音が鳴っているしるし。だからリリアは、その音を大切に胸に抱いて、今日も静かに微笑むのでした。
星の音を聴く子 sui @uni003
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます