②紫微計画と都市伝説

「今、都市伝説で話題になってる"紫微村"って知ってるか?

なんだか、すぐにネットで消されちゃうみたいなんだけど。」



お洒落な喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら


「なにその村。」


とクスクスと笑う梨衣。




「ネットで噂になってるんだよ。

しかも、死んだ人を生き返らす不老不死の薬があるだとさ。

それに、死者が住む村もあるらしい。」



「死者の村か。

どこにあるんだよ?

新は知ってるのか?」



梨衣の双子の兄、海里は興味が湧いてきたのか質問を返す。

  


「よくわかっていないらしいが、樹海にあるらしいぞ。」




「樹海!」



「樹海って自殺の名所じゃないの?」


「なにそれ。」


水音(みお)と梓、隼人、雪斗も話しに加わって盛り上がる。




今、盛り上がっているは大学のミステリーサークルの仲間達だ。




大学三年の梨衣、新、海里と、大学一年の四人。



しかも、七人しかいないという淋しいサークルだ。



それでも、夏休みに入ったので、なにか活動しようと皆で集まったのだ。




「そこでだ、ミステリーサークルの活動で、都市伝説にもなっている死者の村に行こうと思っているんだけど皆はどうしたい?」



「ちょっと怖そうじゃない?」


「私は行けないかも。」



「そうか。

今回は、樹海で危険もあるかもしれないから強制はしないよ。

行きたい人だけが参加すればいいから。」



「あと、こんなのもハッキングしちゃったんだよね。」



新がニコッと一枚の用紙をテーブルに広げる。



その紙にはこんなことが、書かれている。



--紫微計画--


◎目的(少子化対策)


少子化の問題で人工が減少している。

死者を生き返らせ、子供を産んでもらう。




◎不老不死の薬の開発


途中まで完成したが、寿命は不老不死とまでいかない。


死者は蘇生はするが、100~200年くらいしか生きられない。



◎研究結果


死者は蘇生後は年をとらない。


生きていた頃のような病気にはならない。


死者同士、生きている者と性行為をしても子孫は残せない。


1日で怪我は完治する。



◎重要


そして、薬の影響で、人を殺すのを楽しむ死者も出てくる。


この場合は隔離場所から出すことは許さない。(檻で寿命まで過ごさせる。)


一回薬で蘇生した死者は、二度目の薬を与えても効き目がない。





皆が順番でこの用紙に目を通す。




「これどこからハッキングしたんですか?」




隼人が額の汗を手で拭いながら、小さな声で新に声をかける。




「秘密だよ。

それにこの話がほんとうなら面白そうじゃない?」



六人は息を飲んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る