紫微

春莉

①紫微(しびと)村

--紫微村--


「冴島さん、地下から誰か来ます。

侵入者ですかね?」


監視カメラからは若い女の姿が捉えられている。



あぁ…

あいつか。


久しぶりに見る女の姿に冴島は顔を曇らせた。



若い研究員の墨田ゆうきは不思議そうに監視カメラを覗いている。



「墨田、あの女に興味を持つなよ。

そして、詮索もするな。


あれに関われば死ぬぞ。」


 


「なにを言い出すんですか?」

墨田は乾いた声でハハハと笑う。




「あの女は、この紫微村で出入りを許された唯一、特別な女だ。」



紫微村は一回入ってしまうと、外に出られない。



死者はもちろん、研究員達も。




「そんなことがあるのですか?」



「知らないほうがいい。」



それから、墨田はもう聞くことはなかった。



紫微村とは長年の夢だった、"不老不死"の薬で生き返った死者の住む村。



莫大の金で寿命まで手に入る時代になるはずだった…



だが、研究は見事に失敗に終わる。




でも、不老不死にはなれないが、100~200年くらいは死者が蘇り、生きられる薬が開発されるのだが…


それにはたくさんの問題があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る