ただの一日の短歌

空腹で目が覚めた朝　ガムを噛み

キシリトールの匂いのくしゃみ

五分前「おはよう」のスタンプ通知

似たスタンプを探す七秒

暑さで春が去った事を知る朝

今日からシャワーは三十九度

ネットニュースに出て来る飢えた子供

地下鉄の広告にドーナツ

君が言う「おはよう」に「二回目だね」と

笑い返した午前八時半

君の横顔　それ以外はBGM

目は合わない　君が真面目だから

コンビニのパンを頬張る君を見る

窓から差し込む光の白

「また明日」って言ってたけど休みだよ

…本当は毎日会いたいよ

ビーカーに午後ティー注ぐ夜八時

浮かべた氷のカルキの白

読みかけの本の続きの夢を見て

少し悪い六月の寝心地