外伝・モブ令嬢に転生した元日本人ですけど何か?


 私はこの【華麗な花と愛(ラブ)しましょう】通称ハナラブのメインヒロインではなく、名前すら出てこないモブ令嬢に転生をした元日本人の転生者だ。

 幸いなことにハナラブのゲームは散々やり込んでいたのでこの世界についてはかなり詳しかった。

 前世では病気でずっと入院してベットの上だったから初めて自分の足で自由に歩けた時は凄く嬉しかった。

 転生してすぐは戸惑い悩み前世の事を思い出して悲しくなったこともあったがだんだんと慣れていき、今では同じ貴族の令息で私のことを愛してくれる人とも出逢うことが出来、確かな幸せを謳歌していた。


 ハナラブの世界は乙女ゲームには珍しい、一歩間違えたら世界が滅ぶような展開が幾つも有るゲームだ。

 だから私はゲームが問題なく進み世界が救われるようにシナリオには一切手を加えない様に過ごすことを決意した。

 決意した筈だった。




「それなのに。それなのに。どうしてこうなった~~~~~~~」



 

 ハナラブの世界ではメインストーリー、サブストーリーで世界を滅ぼしかねない敵が出てくるのだが、サブストーリーが主人公達がアクションを起こさない限り発生はしない。

 ただメインストーリーだけはそうはいかない。放っておくと文字通り世界が滅びかねない事件が起きる。


 その事件とは最終章、かつて大賢者と呼ばれた者である。


 この章の内容を大雑把に説明すればディステリア王国にて大賢者と呼ばれ国に尽くし民を愛してた人格者が当時の王族・貴族によって酷い仕打ちを受けて闇落ち。

 悪魔と契約をして、長い時間をかけて自分の肉体を最悪の厄災リッチキングに変質させてディステリア王国を滅ぼそうとする内容だ。

 

 ただ、リッチキングの討伐は聖女である主人公と守護者・バルバッセロの協力と場合によっては犠牲もありなんとか成功する。

 その後、魂だけどなった元大賢者が悪魔の肉体を取り込み、悪魔王へと変貌。

 世界を滅ぼす為に暴れるが、主人公が真なる聖女に覚醒をして、ストーリー神器・聖女の杖と聖女のローブ、聖女の証を身に纏い悪魔王を討伐するというお話である。


 その後は悪魔王を倒した功績で聖女として認められて場合によっては逆ハーレムエンドでハッピーエンドとなるのだが、なるのだが。


 今、その肝心の主人公が行方不明。

 リッチキング討伐に必須の守護者・バルバッセロがそもそも論として存在すらしていない。

 断罪されるはずの悪役令嬢がなんか勝手にどっかいった。

 何故か、主人公ではない野生の聖女様がポップしている。その正体は不明。

 停戦してる筈の戦争がまだ戦争してる。

 

 そして、何の準備も出来てないのに、リッチキング出現の時期が訪れて、出現しちゃった。

 早く倒さないとヤバい化け物なのに、ディステリア王国と帝国で喧嘩して全然討伐に動き出さない。


 本当にどうすればいいのよ。


 馬鹿じゃないのこの国の王族は、帝国の上層部は。

 頭の中に蛆虫が詰まってるだろ。これだから為政者という存在は現場を見てないから今の状況がどれだけヤバいのかをまるで理解していない。


 だって、リッチキングよ。リッチキング。

 ゲーム本編で散々語られたし、討伐失敗ルートだ大陸が滅んでバッドエンドを迎える厄災よ。

 無限に死者の眷属を生み出して、死のオーラをまき散らしながら、生を否定する負の化け物よ。


 時間が経てば経つほど強力になってく、早期討伐が必須の化け物よ。

 というか早期討伐の重要性もこの世界でいっぱいあるじゃん。書物残ってるんじゃん。先人の勇者たちが絶対に早期討伐しろって言ってるじゃないの。


 なのに、どうして戦争のことを話し合うの。いや、違う。戦争についてじゃない。ただの保身と利権の為。

 世界の安全、民の安全よりも自分の利益の方が大事なんだわ。

 だって、帝国との戦争があるから兵力を損耗させないためになんて建前を使ってるけど、実際はリッチキング討伐という利益にならない敵を相手にしたくないだけ。

 どうにか誰かに押し付けて自分達は蚊帳の外でそれを眺めてリッチキング討伐成功という利益を得たいだけ。


 私に何か出来ることがあるのかと問われれば、特にチート能力も持ってないし、ゲームで知ってた神器の隠し場所とかパワーアップアイテムは主人公の為に触らなかったからそういうのもしてないし。

 ただ、未来を知ってるだけの小娘よ。


 もう、終わりだわ。終わり。


 この国は滅ぶのよ。


「アハハハハハハハハハハハハ」





 数日後




「え?リッチキングが討伐されただって?しかもたった一人の冒険者によって。原作にもどんなキャラいなかった筈よ。一体どうなってるのよ」


 

 

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