外伝・リッチキング出現


 リッチキング・・・全長約4メートル

 巨大な骸骨の化け物であり色は闇と黒を混ぜ濁った色をしている。

 その身には魔法耐性・物理耐性・自動復元・サイズ自動調整・魔力回復速度増加・異空間収納・被ダメージ激減・破壊不可の効果が付いたローブを身に着け、頭の上には操っている闇属性の魔物のステータスを倍増させる死者王の冠を身に着けている。

 闇魔法に対しての絶対的な能力を持っており、この世界に存在する全ての闇魔法を操れる。

 更には生前使えていた魔法も行使が可能であり、個体によっては光魔法含む、全属性を操ることもできる。

 リッチキングとしての特殊能力として殺した生命体を強制的に眷属化させ、死者の眷属として使役する。この能力で死者の眷属として存在が生命体を殺しても死者の眷属として使役することが可能であり時間が経てば経つほどに戦力を増やしていく。

 強力な再生能力も持っており、浄化魔法や聖魔法を使って攻撃をしない場合は少し手も骨が残っていればそこを軸に瞬時に再生してしまう。

 死者の恨みを魔力へと変換することによってほぼ無尽蔵の魔力を持ち、最上位魔法を連発することも出来る。


 正に厄災。

 Sランクの魔物の中でも特に恐れられる存在であり、過去には大陸を一つ滅ぼしたこともある。

 

 そんな、リッチキングの発生条件はたった一つ。


 大英雄と評される程の実力を持った偉大なる魔術師が憎悪を抱きながら死んだ時、自身の死後世界に極限の不利益をもたらす為に肉体を改造しリッチキングとして蘇るように細工した場合のみである。


 こうして生み出されたリッチキングは魂を持たず、憎悪のみで動く化け物として世界に破滅をもたらす。

 自分の魂を求めて彷徨うが、リッチキングとして復活をする際には何百年という年月が必要であり、そのころには魂は自然消滅しておりみつかることは絶対にない。

 あるはずのない魂を探すが見つからず、その怒りはより深い憎悪へと変わり更なる力を持って世界に破滅をもたらす。


 このリッチキングを討伐する為には聖なる力を持った聖女か聖女が必須である。

 過去、大陸を滅ぼしたリッチキングを討伐した際には今代の勇者と聖女が協力をして世界各国から集められた万の精鋭と1000を超える超一流の聖職者が数多の犠牲を出しながら討伐した。

 その戦闘は苛烈を極め、討伐に際し、勇者と聖女は魔王よりも強かった。必ず発見次第早期に倒さなければならないという言葉を後世に残している。


 そんなリッチキングが帝国とディステリア王国の国境沿いにして出現した。


 幸いなことに冒険者ギルドによって早期に発見がなされ、リッチキングの使役する死者の眷属がまだ数十体しかおらず、両国が兵を出せば充分に討伐可能なレベルであった。


 しかし、ここで起きた大きな問題がリッチキングの出現場所が国境沿いであったということと、ディステリア王国と帝国が現在戦争中であり非常に仲が悪かったという事である。

 両国は一時停戦をした後、リッチキングの討伐を互いに押し付け合った。

 何故ならここで下手に兵を消耗してしまうと、今起きている拮抗状態が崩れ戦争に敗北してしまうことを恐れたからである。


 両国は不毛な押し付け合いを始めてしまう。

 そこにあったのは醜く愚かな為政者の都合であった。

 民の安全を考えるのならばすみかつに討伐するべきであるし、人類の安全を考えてもすみかつに討伐するべきであった。


 為政者達は国境沿いからは遠く離れた王都にして多くの騎士と魔術師に守られているからこそ、事態を重く見ずに自分の利益の為に言い争いを行い、あらうことかリッチキング出現により一時停戦となった戦争をまた始めようとした。


 それを止めに入ったのが帝国の第二王子であった。

 彼はディステリア王国によって滅ぼされた帝国の伯爵貴族の血筋を引いたディステリア王国からの亡命者であり、その高い能力を認められて現国王の養子となった。

 神器を二つ保有しており、第二王子という身分でありながら冒険者ギルドで活動し村や町を脅かす魔物討伐に精を出しているSランク冒険者であった。

 亡命者という点や民に媚びを売っていると貴族からは嫌われているが、民からの信頼は厚かった。


 そんな第二王子はリッチキング出現を民の危機であると危惧し冒険者ギルドと連携をし、両国から莫大な報奨金を捻出させ、それを対価に冒険者ギルド単独でリッチキング討伐作戦を決行しようとした。


 両国から報奨金を捻出させることには成功したが、肝心の冒険者が集まらなかった。

 冒険者は自由を売りにしている。依頼の強制をさせることは出来なかった。

 そして、リッチキングと戦える程の力を持った冒険者はわざわざリッチキング討伐作戦に参加をしなくても充分な金銭を持っており、誰も死地に出向こうとしなかった。


 第二王子は自分の実力を正確に理解していた。

 今の自分では単独でリッチキング討伐は不可能であり、返り討ちに会おうものなら神器を持った自分が死者の眷属として次の討伐をより困難なものにしてしまうことを理解していた。


 冒険者ギルドは無責任だと両国から責められ始めた。


 そんな中、一人の冒険者が依頼に名乗りをあげた。

 最近、活躍中の魔術師である。

 冒険者ギルドランクはAであり、最近活躍し名を挙げているので充分に戦力にはなると判断された。

 しかし、今更Aランク冒険者が一人加わった所でリッチキングを倒せるのは誰も思っていなかった。


 そんな失意の中、魔術師は傲慢に言い放った。


「たかだが骸骨如きでしょ。リッチキングなんて死んだ後も未練たらしく逆恨みするカスだわ。死霊神様の加護を受ける私が生み出した魔術があればあの程度の一撃よ。

 私以外は誰も来なくていいわ。だって足手纏いになりますもの」


 何の躊躇いもなく魔術師は、否、マリアンヌはリッチキング討伐に向かった。

 

 その数十時間後、リッチキング討伐成功の報告が届き、冒険者ギルド全体が歓喜に包まれるのはまた別のお話。

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