第14話 その後
「――お、おかえりなさいお姉ちゃん! きょ、今日はどうだった?」
「うん、ただいま
ある平日の放課後にて。
カフェ『RUHE』にて、いつものように柔らかな笑顔でそう口にする鴇杜くん。……はぁ、ほんと癒し。
あれから、数ヶ月後――あの日以来、あのストーカーはもう彼に近づいていないようで、ひとまず平穏な日々を……まあ、あくまでひとまずは、だけどね。いつまたああいう人が現れるか分かったもんじゃないし、決して油断は出来ないから。
『……今回は、ほんとに助かった。ありがとな、
『……へっ? あっ、ううんそんな! ……でも、どういたしまして、
数ヶ月前のこと。
あれから数日後――あのストーカーを追い払ってから数日後、愛斗さんから告げられた言葉。でも、こちらとしてはちょっと申し訳ないくらいで。と言うのも……まあ、無理言ってちょっと出しゃばっちゃったからで。
さて、言うまでもないかもだけど、彼はこの件を知っていた。そして、もちろん警察に通報しようとしたんだけど、鴇杜くんが止めたそうで。その理由はいくつか考えられるけど……ともあれ、被害に遭っている当人がそうお願いしている以上、愛斗さんもひとまず承諾するしかなかったのも尤もで。なので、せめて何も起こさせないよう、仕事を終え帰路に着く鴇杜くんに悟られぬよう愛斗さんがこっそり付け護っていたようで……うん、改めてだけどすごいなぁ、愛斗さん。
ともあれ、事情を知った私は愛斗さんに懇願した。どうか、この件を私に任せてほしいと。果たして不安そうな愛斗さんだったけど、最終的に私の熱意に負けてくれたようで、いざとなったらすぐに逃げることを条件に承諾してくれた。ちなみに、あの日も愛斗さんは私達を護るべくこっそり付けてくれていて……うん、ほんと優しいなぁ。
『……ところで、夕谷。別に、お前を信用してないわけじゃないが……それでも、生半可な覚悟であいつと向き合うのなら引いた方がいい。じゃないと……最悪、二人とも傷つくことになる。なんせ、馬鹿みたいに良いヤツだからな……鴇杜も、お前も』
『……愛斗さん』
すると一転、少し厳しく……それでいて、ひしひしと心配の伝わる声音で告げる愛斗さん。うん、意外と優しいんだよね、この人。……いや、意外なんて言ったら失礼だけども。……まあ、それはともあれ――
『……うん、ありがと愛斗さん。でも、あたし達なら大丈夫。だから、ちょっと不安かもしれないけど……あたしに任せてくれないかな? 鴇杜くんのこと』
そう、じっと目を見つめ告げる。すると、少し目を逸らしそっと頷く愛斗さん。……うん、ありがと。でも、あたし達なら大丈夫。だから……うん、安心してあたしに任せて? 愛斗さん。
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