彼女と恋を始めて50日目 I
僕はどうすればいいのか。電車に揺られながら考える。
『彼女と付き合う』
たったそれだけで彼女とはいつもどおり少なくとも今までのようには過ごせなくなる。
名称が友達から恋人に変わるだけなのに、僕は僕と彼女との関係を恋人という曖昧な言葉に預けたくないと思ってしまう。
ならば、
『カップル』だったらいいのか。否。
『愛人』だったらいいのか。否。
『夫婦』だったらいいのか。否。
僕はここまで自分がめんどくさい性格だとは今まで知らなかった。
でも、僕は彼女との関係をこの世にあるどんな言葉でも表したくないのだ。
結局答えは出ず、あっという間に学校の最寄りに着いてしまった。
降車し、改札を出る。学校の最寄りの駅前には占いをしているお婆さんがいる。
僕は基本的に占いや神さま、お化けなんかは信じない。
だから、占い師のお婆さんなんていつもは何も気にならないのだ。
でも、今日は占いを頼ってもいいかもしれないとおもった。
『人間悩んだら、占いや神なんかを信じたくなるもんだよ』
ふと思い出したこの言葉は誰が言ったものだっただろうか。
今日だけ頼ってみてもいいかもしれない。
誰かが背中を押したように僕はすんなりきめてしまった。
「すみません。今って占ってもらえますか?」
「ああ、大丈夫だよ。お座り。」
改めて向かい合ってみると、なるほど雰囲気のある人だ。
「なにを占ってほしいのかな。」
「昨日彼女に告白したんですけど、彼女に付き合う?といざ聞かれて悩んでいるところなんです。」
改めて言葉にしてみると何を言ってるんだ、僕は。
僕が彼女を好きだから告白したのに、これでは彼女に恥をかかせている。
「いやいや。それはYES一択だろ。男ならその辺はシャキッとせんと。」
占い師の声が変わった。
不審に思い、黙っていた。
「あらま。素が出てしもうた。」
僕の直感がこの人はやばいと感じている。
「せっかく、相談させてもらったのにすみません。もう大丈夫です。」
失礼なのは百も承知だったが、早くこの占い師から距離をとりたかった。
「ちょっと待ちいよ。久しぶりのお客さんやしサービスで少し助言を。」
占い師は勢いよく首をに90°にまげた。
バキバキボキバキ
骨が軋むような音がする。
ただでさえも細くか弱い首なのに勢いよく曲げたら、折れてしまう。
占い師はゆっくりと顔をあげる。
明らかにさっきとは様子が違う。
『君の悩んでいる人はかわいい。ぐふふ。スタイルも抜群だ。
ぐふふふ。髪は黒髪でポニーテールが可愛い。ぐふふふふ。
もう最高じゃんか。』
また声が変わった。
気分が悪くなりその場を後にしようと占い師に背中を向ける。
『そして彼女は壊そうとしている、我々人類をね。』
このインチキ占い師め。
それっぽいことを言おうと必死だ。
あの彼女が人類を、、、なんて想像もできない。
100日後彼女は人類を滅ぼす 織田美香 @mikannohappa
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