第14話
エウクレとモンストラスの会話より時間的に過去方向。阿曇たちは食堂でお昼ご飯を食べていた。
「バイキングだぜ、一杯食うぞ」
木村は皿一杯に肉を乗せる。野菜には目もくれない。
「野菜も食べろ、肉だけだと偏るぞ」
阿曇は木村に比べ野菜の割合が多く、野菜好きと言われても仕方ないほどである。
「分かってるよ、肉食った後に野菜を食うさ」
食堂はツアー客で溢れ、皆は好きな料理を皿に取り、楽しんでいる。
「食事しながら景色を楽しめる、ここは良いところだよ」
「それはそうだけど、食事で手一杯だね」
窓からは好きな時間点の景色が映し出されている。皆それぞれ違う景色が見られるよう席ごとに窓が区切られている。
阿曇の席ではまだ操作していないのか、バスの中で見た景色と同じものが見えていた。
「木村、あれは何かな?」
阿曇が指さし、木村はその方角をじっと見る。阿曇の居る研究所から未来方向に建築物が見えていた。
「さあ?建物のようだけど」
肉を頬張りながら木村が応える。
「あれは研究所ですよ」
話しを聞いていた案内人が言う。
「研究所?あれが?」
阿曇が居るのも研究所である。
「十一次元は十次元に時間を一次元分として追加した次元ですから過去方向にも
未来方向にも研究所はあるのですよ。時間点が違えばその分だけ研究所も分岐します。プランク秒単位で分岐していますよ」
要は今と一秒前では時間点として違うのだから違うものらしい。
「この研究所も今分岐していると?時間が流れていますし」」
「分岐した後の研究所はそれぞれ任意の時空点を滞在できるので分岐してから分岐することは無いですね」
ある時空点に留まっているなら時間流に流されることは無い。簡単に言えば留まっているものは時間が流れないのだ。故に時空点の違いで分岐しても留まっている状態からの分岐は無い。
「でも時間が流れているはずじゃ。僕らも動いてますし」
「この研究所が空間的に独立している様に時間的にも独立しているのです。時空点に留まっている研究所の中は外と違う、独自の時間流を持っているのですよ」
疑似定理証明装置でねと案内人は言う。便利すぎやしないかと阿曇たちは思ったが、これより多彩な御業を持つ知性体が居ることを考えると控えめな便利さだなとも思った。
「なるほど、教えてくれてありがとうございます」
案内人はその場を去り、二人は未来方向の研究所を見つめる。
「‥あれが未来方向にあるなら研究も未来に進んでいるのかな」
「でも時間的に内部空間は独立してんだろ?別の研究してんじゃない?」
他愛ない話を二人は繰り返し、バイキングを楽しんだ。
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