第八夢

夢を魅せる―②


現実に戻った後すぐにまた予約が入る

いい調子だ、このままいけば家賃を払える


送迎車から降りてホテルに入る

スイッチを切り替える

これからまた「夢」を魅せる仕事なのだ


夢が覚めて現実に戻るとやはり聞かれた

「なぜこの世界に?」


公にされても困るためもう一つの事情を話した

嘘ではない

故郷にいられなくなった、いられなくされた理由はいくつかあるから


そんなことが現代に?と驚かれた

思った通りの反応だ

むしろその反応しかできないだろう

同じ目に遭ったことがある人以外は


夢は醒めても笑顔は褪めず

笑って肯定した

その反応が庇護欲を掻き立てたのだろうか


また抱きしめられた

辛かったんだねと同情された


私は初めてこの業界を利用する人のことを考えた

全員がそうとは言わないが

利用する人たちも少なからず


人のぬくもりを求めているのではないだろうかと

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