第七夢

夢を魅せる―①


長く内縁関係にあった私の経験人数は二人

そちらの方も長く無沙汰だった


それでも緊張も何もなかったのは

良くも悪くも年のせいか


恥じらいなんてなかった

一気に全裸になることこそなかったが

人前で脱ぐことに不思議と抵抗はなかった


仕事だから

そう割り切っていたのかもしれないし

この業界を選んだ時点で

心なんてものはもうなかったのかもしれない


夢を魅せて、対価をもらう

ただそれだけのこと


夢のあと、色々な話をした

やはり業界未経験となれば(プロフィールに書かれる)、なぜこの世界にと聞かれるのは想定内

驚くほど淡々と、笑いを添えながら身の上をさっくり話した

形だけでも同情してくれたのは嬉しかった


頑張ってね、と抱きしめられた

不思議と嫌ではなかったのは、無意識に人のぬくもりを求めていたからなのかもしれない

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