7月3日火曜日2
その日の夕方、バイト先に向かった。
到着した時には小川は仕事着に着替えを終え、タイムカードを切るところだった。
ばったり会った。目が遭った。言葉に詰まる。
たった一言の雑談ネタも思いつかない。かといって、そのまま通り過ぎるのも変なので、「おはようございます」とあいさつをする。
小川も「おはようございます」と返事をし、そのままバックヤードの方へ入っていってしまった。
はぁ。なんで、言葉が出てこないんだろ……
真琴は頭を抱えながら、更衣室へ入っていった。
小川がここに来て3日目。まだ3日目なのに、小川は大まかな商品の配置や簡単な接客対応など、すでに基本的な仕事の要領を得ていた。初日のように付きっ切りでなくても、勝手に仕事ができるようになっていた。仕事を教えるというきっかけで話しかけるということが日に日に難しくなっていく。
そういえば、昨日のバイトの時も、商品の場所を教えたくらいで……大した話をしていない。
どうしよう……
今日もちょっとした業務的なやり取りだけで、バイトが終了した。何も話ができなかった。
バイト終了後、真琴のスマートフォンにチャットアプリの通知が来ていた。
明日香からだった。
『小川君と順調? どうせ軍曹のことだから、話すきっかけがなくて、何もしゃべらず今日も終わったんでしょ。まあ、仮に会話が弾んでいたとしても、明日、作戦会議するよ。あ、そうそう。昨日のあたしのリクエストで察しているかもしれないけど……いい男見つけたよ。さすがは未来ラジヲ。詳しくは明日』
真琴は、ため息をついた。
既読スルーをするのも良くないので『わかった、アーリンの話楽しみにしておくね』と返事をし、スマホをポケットに突っ込んだ。
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