7月1日日曜日23時45分

 アプリ『未来ラジヲ』の通知音が聞こえた。スマホの画面は割れており、見づらいが問題なく操作することはできる。

 真琴はアプリを起動させる。毎晩のルーティン。化粧水を塗りながら、放送が始まるのを待っていた。


 ブツッというどこか無機質の音が入ったかと思うと、軽快な音楽が流れ始めた。

「はぁい、今夜も始まりましたわくわくどきどき未来ラジヲ。皆さん、今日はどのようにお過ごしになられていましたか?」

「明日、月曜日だよね……もうすぐ、月曜日だよね……日曜日の夜ってテンションさがるよね」

「なっちゃん、どうしたの」

「シゲさんだってわかるでしょ。月曜日といえば、学校が始まる、仕事が始まる。寝たら、あっというまに朝になって、月曜日が始まっちゃうんだよ」

「ええ……そうだね」

「わからないかなぁ。日曜日夕方の落語の番組が始まり、アニメが始まり……あれって、そろそろお休みが終わるぞぉっていうカウントダウンだよね」

「さ、ラジヲ番組なのにテレビ番組のことばっかり話をしているなっちゃんを無視して、テンション上がる曲をかけちゃいましょう。リスナーのみんなは、その間にリクエストをよろしくぅ」


 その言葉を合図に、少し古い初夏らしい音楽が流れ始めた。

 真琴は手元にある割れた画面に視線を落とし、アプリのリクエストページを開き、手早く入力した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る