幕間

 ——翌朝、朝食でみんなが起こされる、少し前。

 近づいてくる足音に気づいたアキは、上半身を起こした。

 足音はアキの部屋の前で止まり、扉がコンコン、と小さくノックされた。

「おはようございます。長老の遣いでございます。話がある、と」

 身に覚えのないアキは、不思議に思いながら返事をした。

「承知しました。すぐ準備して、向かいます」


 身支度を整えたアキは、まだやや薄暗い廊下を歩いて長老の部屋へ向かった。扉をノックする。「アキです」

「来たか。入れ」

 部屋には長老一人だけだった。

「昨夜のことは本当に感謝しているぞぉ。後でメリスさんにも直接言うがな。ところでだ。呼ばれた理由の予想はついているか?」

「いいえ全く」

 首を左右に振りながら正直に答える。

「アキ、お前もまだまだ詰めが甘いな。それでも旅人か?」

 小さくため息をつく長老。

「いやあまだ、半人前なもので」

「さっさと一人前になって、わしを安心させとくれ。……さて、本題に入ろう。お前が連れてきたメリスさんのことだ。彼女のあれは一体何だ?」

「どうやら、ある特定の感染症にのみ効く治療法だそうで。その感染症に罹った者と言葉遊びをして、彼女が勝てば治るとか」

「……妙だな。わしがメル国で打ったのは最新の薬だ。なぜ彼女が治せる。しかも、薬のように副作用もなしに」

「それは不明ですが、本人はそれを不思議にも思っていないようで」

「ふむ。まあよい。わしが最も聞きたかったのは治療法だ。あまりにも未知な要素が多いからな。何か新しく発見したら知らせてくれ」

「御意」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る