子供の母視点

ピチャ

子供の母視点

 このお話は求婚されたところから始まる。

平穏な家庭だったので、子供の教育に熱心になる。それぞれに役割を持たせ、適性を見極める。教育者として職場に劣らぬ指導をしてきたつもりだ。

子の願いはできるだけ叶えたいと思い、奔走する。寿命を考えると、私が衰える頃、子は働けるようになっているだろう。そこにパーティーを仕込む。

まずは子の願いを聞くことから。

「私の言うこと思うことすべて叶えてほしい」

悪魔か。

しかしこの子は興味深くなるようなことも言う。何か意味があるのかもしれない。そして私は機械を起動することを考えた。彼女が願いを叶えるその日まで、私はコツコツ働く。

将来金を稼ぐと言っていたので、彼女には金マークがついている。

彼女は付いてきてというので、私たちは付いていく。

そのためなら、システム作りも悪くない。


 彼女は大学に行く。

首都圏といえども遠い大学なので、準備しつつ、子供の様子を見つつ。

ところが、子供の調子が悪い。意欲が落ちているのか、ほぼ寝ている。

気になって見に行く。あ、精神病だ。

何とか元気づけて会社に来てくれるよう全力を尽くす。頼む。金がかかっている。


 入社した。

我が子のお披露目会。ところが我が子は気づかない。

金は減る。システムの変更により悪化する。子供も体調が悪そうだ。

魂と器が合わなかったか。

そっと帰りを促す。人生の内容は自分で決めた。あとは帰すだけ。

そっと運ばれる。

 しかし。

彼女は元気を取り戻した。前の会社のことを考えて、労基と警察に相談しに行ったようだ。

マークされた。

 そりゃそうだ。日々人の性格が変わる。

ひどい世界になったようで、彼女は様々な意見の中で回り始めた。仕事を止めた後も仕事を探してうろつく。パートやアルバイトにも手を出す。落ち着いているのは他のことに夢中になっているとき。幸い、彼女は勉強が好きだ。先生役をつけておくと、一番落ち着いて過ごしている。だが体調が良くなるとまた仕事を探し出す。彼女は仕事も好きだ。でも、とても金にならない。金にならないように育った。広範囲のことを学び、いろんな家事に対応できるマルチ型にしたのに、彼女は自分の成長を望む。自認では仕事と勉強がないと生きていられないらしい。しかし遊び好きでもある。

上手く生きられないし、上手く生きようともしない。愚直な無知。

これからこの人をどうコントロールしていけばいいのだろう。

そしてこの人の望む通り、私は金を撒いて死んだ。

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子供の母視点 ピチャ @yuhanagiya

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