第6話 授業と鑑定スキル

……とこのように、すべての武器は呪術系統と物理系統に分けられるわけだ。


舞台の上で立ったまま授業が始まったと思えば、

この世界の住人ならだれもが知っている常識の再確認だった。

みんな退屈そうにしている。

オレはあくびを一つしてみた。

「どうした。退屈か?私の授業は」

みつかった。

「そんなことはありません!とっても勉強になります!」

「ちょうどいい!スミノ!ブルグネラ!前に出ろ。

お前らは昨日、とても目立っていたからな」


昨日のピースカイザーの八連戦目のオレの勝利が話題になっていたらしい。

「目立てば教師にも伝わるからな!どんどん目立てよ!」

「くっ!私の負けが噂になっているなんて……」

くやしそうだ。

2人で前に出て教師に並ぶ。


「私のアビリティは呪術系統、鑑定スキルだ。これで昨日の戦いの内情を日の元にあかしてやろうじゃないか」

「さあ!武器を出せスミノ!」

そういわれてスミノは構える。

緑色の光が収束して大剣が浮かび上がる。

何度見ても美しい剣だ。オレのモノほどじゃないが。


「通常の武器の、特に呪術系統の呪術と呼ばれるものの発動条件はしっているか?」

質問にピースカイザーが答える。

「剣戟を打ち合わせることです」

「そうだ!物理的接触によって互いの世界が干渉しあい、結果として効果が顕現する。特に言われているのは、強い方の効果が優位に出るという事か」

「構えていろ。私の方から打ちに行く」

教師はいつの間にか小さな小刀を手に持っていた。特に動作をしたとは思えなかった。見逃したのだろうか。


コツン、と緑色の大剣を小刀がつつく。

「ほうほう、これは……呪術系統、チャームだな」

「なんですって?」

「貴様の剣と剣戟を重ねると、そのうち酒に酔ったように剣筋が乱れて打ち込めなくなる。そういう能力だ」

オレは昨日の戦いを思い出す。

たしかに、対戦相手は最後には千鳥足のように足元がふらふらだった。

実力差におびえた結果じゃなくてアビリティの効果だったのか。


「さて、次はそっちの貴様だ。構えろ」

「はい。……猛りを!」

「無詠唱に短縮詠唱とは、今年の1年生は粒ぞろいだな」

「お褒めにあずかり光栄です」

「さあ……そのまま構えていろよ」


コツン、パリン!

「なん……だと……」

教師の小剣にヒビが入った。

「貴様……まさか無効化系統!?」

いうやいなや教師は前かがみになり、そのままうずくまって気絶してしまった。


小柄の少年が言う。

「早く別の先生をよばないと!」

たしかに。とオレはそう思った。

……20分後、駆け付けた2人の別の教師によって倒れた教師は運ばれて行った。

まだ名前も覚えていないのに。

歩いて後から来たもう一人の教師によって授業の続きが進められた。

さすが学園だ。鑑定スキル持ちが2人も在中しているなんて。


後日、オレは噂の界隈で教師殺しの異名を頂くことになった。

まったく。光栄なことだぜ。

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