第5話 アキ、一人の部屋で確かめる。

ダマスカス学園は全寮制の学園だ。

こんなオレにも一人用の部屋があてがわれている。

実にいい金の使い方じゃないか?

食事は寮の食堂で食べてもいいし、部屋に持ち帰ってもいい。

ただし、夜の10時までに食器を洗い終えないと寮母が鬼のように

怒り出すらしい。……とは先輩の段だ。舞台での戦いの後に説明された。

なによりも先に飯の話か……この学園も平和なものだね。


さて、一人で部屋に閉じこもってすることと言えば、ひとつだ。


「我が猛りを表せ!」

刀が顕現する。

一振りする。軽い、紙のようだ。

スッと顕現を解く。すると暗闇に刀が解けて消えた。

「我が猛りを!」

刀が顕現する。

今度はそっと頬で刀を撫でてみる。

この刃がオレを傷つけることはないだろう。

絶対の信頼感がある。確信している。

刀の顕現を解く。

「猛れ!我が魂!」

刀が顕現する。

そうして日が暮れていく……

アキは食事の時間までそうした行為を繰り返していた。

キモい。変態。年頃の少女ならば言っただろう。

だが一人部屋だ。だれも見る者はいない。本人以外は。


「腹減ったな。よし!食堂に行くとするかね」


アキ・ブルグネラの一日は終わった。

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