第4話 クウ・サブンカの視点

「なんだあの硬さは……」

舞台の上で行われた演劇を見て思った。

アレはヤバい。特級にヤバい代物だ。

刀の形をした呪物である。


「ほう、物理系統か」

隣の長身の女が呟いた。

「あれは物理現象なのですか?」

思わず聞いてしまった。


「打ち合う両者の硬さが大幅に異なるときに起こる現象だ」

刀身の物理的破壊……なかなかお目にかかれないらしい。

普通の対戦ではそこまで打ち合う事がないからだろう。

武器での防御はそれほどまでに硬いハズなのだ。

ある種の安全地帯と呼べるほどに。


しかし、先ほどの現象はそれを裏切る結果だった。

攻撃を受けた武器の方がパリンと音を立てて割れたのだ。

圧倒的な実力差がないと起こらないはずのそれが、

1年生の具現化したばかりの武器で起こった。

異常事態である。


攻撃した側の男の生徒……ただじゃすまないだろうな。

きっとあらゆる方法を使って問いただされるだろう。

研究対象として、だ。


「気になる。どうなっているのか再現できるのか」

そう呟くクウ・サブンカの武器は短刀2本と言う

これもレア・ケースである。

彼女もきっと学園にとっての興味深い研究対象となるだろう。


「仲良くできるかしら、ね」

研究ノートを閉じてそう独り言ちたのだった。

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