第8話 読者とは「理解者」であってほしい

 昨日、自分が見たアニメがすごく面白い。

 友達もそれを見ていた。


 アニメの話がしたい!


 多くの人はそう思うことだろう。

 主人公の行動動機や世界観の没入度、重なる鬱展開に広がる人間関係。深い深層心理の表現など語ることが多い作品は名作と言われることが多い。


 これは、おとぎ話や昔話にも実は存在する。


 いわゆる「教訓」という形で練り込まれたこれらの「シナリオの裏に存在する設定」は、語られていないのに読者が拾い上げて共有することを目的とされている。


 それらは読者自身が「自分だけが見つけた設定だ。誰かに共有したい!」と思わせる動機になる。


 この「気づき」が多ければ多いほど、細ければ細かいほど、またそのモチーフが意識の高いものであればあるほどに、読者視聴者は共有しあおう、共有してくれる人を増やそうとする。


 言い方は悪いが「信者」ができあがる。

 そして「布教活動」が始まるのだ。


 作者はそうやって掘り下げられ、自分の意図した作品のモチーフを見つけてもらうために、あえてそれらの埋蔵距離を浅くすることもある。


 それが悪手とも知らず。

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