第3話 ジャガイモ警察
稀に異世界創作小説の感想欄にて「サンドイッチはサンドイッチ伯爵が作ったからその名前があるのだ。料理の見た目から生まれた名前ではない」と言われることがある。
これは、正しいのか否か。
さて、サンドイッチの料理名が歴史的にどう生まれたかというのはそもそも「現実世界」に置いての話である。異世界にサンドイッチ伯爵がいないのならサンドイッチという料理は生まれない。
だから、異世界にサンドイッチという料理があることはおかしい。
これは、正しいのか否か。
屁理屈を言うのであれば、先の読者は異世界小説の書かれていない歴史を紐解き、過去にサンドイッチ伯爵がいないことを学んだうえでの感想なのだろうか。それとも、現実と小説の区別がつかなくなって感想欄に突撃したのだろうか。
真相は本人にしかわからない。
そして、事実異世界創作小説にサンドイッチ伯爵がいたんです、と作者が言えば問題ないし、そもそもサンドイッチという名前が料理名として存在している世界なのだということもできる。
何故なら、これは「創作小説」だからである。
だというのに、なぜこういったサンドイッチ警察、またはジャガイモ警察と呼ばれる読者がいるのだろう。
それは作者が設定した「世界観」に問題があるからである。
世界観とは、その名の通り舞台となった世界の設定の話で、キャラの生きる空間そのものだ。何を食べ、何の仕事をして、どうやって生きているのか。
それらの設定を自分で作るのではなく実際にある過去や国を切り取って参考にしたのならば、時代考証としてそぐわない設定は突っ込まれることになる。
要するに「都合のいい二次創作」だから突っ込まれるのだ。
「俺の世界ではこの料理をサンドイッチって言うんだよ」
こう言い切れるかどうかが、本格ファンタジーへの第一歩と言えるだろう。
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