第十四話 悪夢、世界の終焉、謎の少女
その夜、神崎は不思議な夢を見ていた。
そこは異世界で結衣が建てた風車小屋によく似たような場所だった。だが、明らかに様子がおかしかった。風車小屋はボロボロに朽ち果て、異世界に結衣が建てた風車小屋の周りは色とりどりの花が咲き乱れていたが、その風車小屋の周囲は荒れた畑が広がっている。畑はひどく荒れ果て、ところどころ地面がえぐれ大きなヒビも入っている。そんな光景を意識だけとなった神崎は空から見下ろしていた。
ビュウウウウ!
そして何より驚かされたのは空だった、そこには紫色の禍々しい雲に覆われていて周囲は激しい突風が吹き荒れている。それは、まるで世界の終焉を思わせるような光景だった。
ゴゴゴゴ…
(な、なんだ……これは――?)
あまりの光景に意識だけの神崎は息を呑んだ。
ガラーン…!ゴローン…!
その瞬間、世界全体に静寂な鐘の音が鳴り響いた。
(……!!)
その時だった。東の彼方から凄まじい衝撃波みたいなものがこちらまでやってきて、周囲の木々をなぎ倒した。ボロボロに朽ち果てた風車小屋が崩れ落ちた。
ブアァァァ!
(え……!)
上空から神崎は東の彼方を見つめてみたが遠すぎて見えない。だが、東の彼方では強いエネルギー同士がぶつかっているようなものを感じる。その周囲の空間だけねじ曲がり、衝突する度に地面が揺れた。
ドッガーーン! バッガーーン!
バチバチバチ…
その強いエネルギー同士の衝突は他にもいくつも見える。注意深く東の彼方を眺めていると、青白い雷柱のようなものが何本もその中心に向かって地面から天に向かって立ち上がっていた。
ビリビリビリ…!
(一体、あの東の彼方で何が行われているんだ…!)
一つの青白い雷柱が、紫色をした雷柱と衝突すると、はじけ飛ばすように青白い雷がこちらまで飛んできた。それが地面に着地するととてつもなく巨大な雷柱が天へ向かって立ち上がり神崎は追うようにして空を見上げる。
ドゴォォォォォォォォ!ビリビリッ…
(な、なんだ!)
カッ!
さらに渦巻き状の衝撃波のようなものが東の彼方から地面をえぐりながら木々をなぎ倒し、こちらにやってくると、その渦巻き状の衝撃波は、周囲の海の水平線の彼方まで巨大なトンネルを作った。しばらくすると海に空いた穴はふさがり海は荒れ狂った。
ズァァァァ!ザッパーン!!
その時だった。
風車小屋の周りの小さな石たちが震えながらゆっくりと宙に浮かび始める。
ウゥゥゥン…
(え…?)
カッ――!!
次の瞬間、東の彼方から超高エネルギーが瞬時に解き放たれた! 一瞬音が消え、眩しい閃光が走り、周囲を焼き尽くすような超高エネルギーが徐々にこちらに迫ってくる!
ズァァァァァ!
(うああああ――!!)
その超高エネルギーに神崎の意識が飲み込まれようとした刹那、神崎の周囲に針の先ほどの光が灯り、
ピカァァ!
瞬時にしてその光が広がり神崎を飲み込む。
シューウンッ!
そして一瞬にして周囲は昼になった。そこには朽ち果てる前の静かな風車小屋の景色が広がっていた。
ギィ…ギィ…
「はぁ…はぁ…」
それは結衣が聖地エデンの園で見てきた記憶の中の景色だった。神崎の胸の鼓動は早くなっている。
風車小屋を取り囲む畑にはジャガイモやニンジン、キャベツといった色とりどりの作物が咲き実り、黄金色の小麦畑が風に揺られサササ…という音が周囲に広がり、風車は静かに回っていた。それは平和そのものといった景色だった。
ガバッ!
そして、神崎はベッドから飛び起きた。
「………!」
身体は冷たい汗で濡れ、心臓が激しく脈打っている。ゆっくり部屋を見渡すと、カーテンの隙間から優しい朝日が差し込んでいた。ゆっくりと壁掛け時計を見上げると時刻は六時三十二分を指していた。静かな部屋には秒針の音が静かに響いていた。
カチ…カチ…カチ…
「あれは、夢……なの……か――?」
呼吸を整えようと深く息を吐き出しながら、神崎は自問した。しかし、あの異様な光景は、単なる悪夢として片付けるにはあまりにもリアルすぎた。確かめたい衝動に駆られ、彼は重い身体を起こし、リビングへと向かうことにした。するとリビングのテーブル席では、タイトスカートのビジネススーツ姿の結衣が、ビューラーでまつ毛を整えていた。
「結衣――!」
「どうしたのよ?そんな青い顔して。」
そこにはいつもの結衣の姿があった。
「なんか変な夢でも見たの?」
結衣は一瞬、神崎に顔を向けたが、気にする様子もなく再びテーブルに置いた鏡に顔を向け、ビューラーでまつ毛を整えていた。
「………。」
「い、いや……なんでもない――。」
しばらく結衣を黙って見つめていたが、神崎は静かに言葉を飲み込んだ。
「そうそう。今日、GFIの重要な会議があるから今夜は遅くなるわ。」
結衣はそう言うと、まるで秒刻みで動いているかのように素早く準備を終え、あっという間に部屋を出て行った。神崎は何か言おうとしたが、彼女の忙しそうな様子を見て、結局言葉を飲み込んだ。
水を飲んで落ち着きを取り戻した神崎は、一人リビングの席で静かに座っていた。
「神崎さん、どうしたんですか?」
そんな彼の傍らにAIエピメテオスのホログラム映像が現れて彼に話しかけた。神崎はゆっくり口を開いた――。
「それは奇妙な夢でしたね。」
「そのような奇妙な夢を見ると、不安になりますよね。ですが、あくまで夢の中の出来事です。現実に影響を与えるものではありませんので、ご安心ください。」
エピメテオスはいつものAIらしい論理的な回答を述べた。
「そうか…。」
「ところで神崎さんも出勤しなくていいんですか?」
「あ!ヤバ…!もうこんな時間か!」
神崎は急いで身支度を済ませて出勤した――。
――神崎は昼休みに売店で購入した惣菜パンと缶コーヒーを手に会社の近くの公園のベンチに座り一人で昼食を取っていた。
「あの夢はなんだったんだ…。」
パンをかじりながら神崎は神妙な顔で昨夜見た夢の内容について考え込んでいた。その周りの滑り台やブランコには周囲の子供たちが遊びに来ているのか無邪気な顔で笑いながら遊んでいる。だが神崎にはその声は届かなかった。
すると一人の白のワンピース姿の少女が物陰に隠れながら、神崎を眺めていた。
「じー…。」
神崎は考え事をしていて少女の存在には気付いていない。
「あそこは異世界で結衣が作った風車小屋に似ていたが、少し違っていた…。」
神崎はパンを一口かじった。
「結衣の風車小屋の周りは一面花畑だった、農作物の畑なんてなかったはずだ…。」
神崎は缶コーヒーを一口飲む。
先ほどの白のワンピース姿の少女は、神崎の前でしゃがみ込むようにして彼の顔を覗き込んでいた。だが、神崎は考え事をしていて気づかない。
「やっとみつけた。」
少女は小さく呟く。
「あそこは俺たちがいた風車小屋ではないのか…?」
再び神崎はパンを一口かじる。
「神崎。久しぶりね…。」
少女は小さくささやいた。
「うーん。あそこはどこなんだ…?」
神崎は考え事をしていて、目の前でしゃがみ込む少女の声に気付かない。
「ねえ? 神崎ったら!」
その声で神崎は眼の前で白のワンピース姿の少女がしゃがみ込んで、その視線が自分に向けられていることにようやく気付いた。
「ん? なんだこの子?」
少女はニッコリした笑顔を彼に向けた。
「会いたかった。」
そう言って少女は、満面な笑顔で神崎に飛びついた。
「お、おいおい。なんだなんだ!」
(なんなんだ、この子…)
少女は笑顔で、神崎は不思議な顔でしばらく二人は黙ったまま見つめ合った。
(しかし、可愛らしい顔をした子だな。それにどこか結衣の顔に似てる…)
「お嬢ちゃん、どうしたのかな?」
少女は少し神崎から離れたが、もう一度、体をギュっと抱きしめ、そっと呟く。
「神崎…。」
(なんだ?やけに馴れ馴れしい子だな)
「お嬢ちゃんどこから来たのかな?」
笑顔で顔を見上げた少女の瞳は微かに涙を浮かべていた。
「んー…。」
神崎は困った顔をした。その時、はっとした顔になった。
「確かエデンの園はアダムとイブで、旧約聖書だったな…!」
彼は目の前の少女のことより夢の内容のことの方が気になっていた。
「よし…!」
そういって神崎は立ち上がる。
「お嬢ちゃんごめんな。また今度な。」
神崎はその場を後にして公立図書館に向かった。
「神崎…。」
彼の後ろ姿を見送る少女は少し寂し気な顔を浮かべた。そして少女は隠れて彼の後を着いて行った。
公立図書館に辿り着いた神崎は、その膨大な本棚から旧約聖書を探し求めていた。
「えっと、旧約聖書、旧約聖書っと…。」
その様子を少女は本棚に身を隠して神崎の様子を眺めている。周りの客は不思議な顔を少女に向けて通り過ぎていた。
「あった、これだ。」
神崎は旧約聖書の日本語翻訳本を手に取って、その場でパラパラとめくり旧約聖書を読み始めた。そこには世界創生からアダムとイブの誕生、その後の二人が楽園を追放されたことが書き記されている。
なぜか神崎は異世界の聖地エデンの園で、青年アダムと出会ったことが記憶から抜け落ちており、エデンの園に行ったことだけが残っていた。
「へー、こんな内容だったんだ。詳しく読んだことなかったな。」
神崎は夢中になってページを開きそこに書かれていることを黙って読み始めた。
「なるほど。二人はその後、カインとアベルを生んだのか…、へー。」
神崎は次のページをめくった。だが、そこから先が白紙になっていた。
「あれ?なんだこの本?」
しばらくページをめくってみたが白紙のページが続いていた。しばらくページをめくった先で、その後のことが書かれていた。
「なんなんだ?この本。落丁かな?」
神崎はそっと本棚に戻した。そして別の旧約聖書の日本語訳本を手に取ってみた。そちらには物語形式で優しくまとめられている。だが、あるページまで差し掛かるとその本もそこから先が白紙のページが続き、しばらくページをめくった先でその後のことが書かれていた。
「どうなってるんだ? この本も落丁なのか?」
そっと本棚に戻した。
「うーん…。」
神崎はその場で考え込んだ。
「じー…。」
その様子を謎の少女は本棚の影に隠れて眺めている。
「ま、難しいこと考えても俺にはわかんねえわ。気にすることねえか。」
そして神崎はその場を後にした。その様子を眺めていた少女は思わず、ずっこけそうになった。
まばゆい光が差す公園で、謎の少女はうつむき小さな手を握りしめていた。その少女の顔には悔しそうな顔がにじみ出ており、瞳には涙を浮かべている。
そんな少女の横をダークスーツを着た男性が右手をズボンのポケットに入れたまま、不気味な笑みを浮かべて革靴の音を響かせながら、ゆっくりと通り過ぎていく。
カツン…カツン…カツン…
神崎が近くの公園の噴水を通り過ぎた瞬間、一瞬周囲の音が消え、彼の脳内に物凄い速さで断片的な映像がフラッシュバックして飛び込んできた。神崎は結衣と行った異世界の聖地エデンの園で、青年アダムの亡霊と出会い彼と話した記憶が抜け落ちていたが、青年アダムの顔と彼の言葉が断片的に蘇っていく。
「君は私の…。」
その先の彼の言葉が消えた。
「なんだ、あの青年は……。」
その時、奥からダークスーツに身を包んだ一人の男性が片手をズボンのポケットに突っ込み、不気味な笑みを浮かべならゆっくりと近づいてくる。彼が神崎の傍を通り過ぎた瞬間、周囲の鳩が一斉に飛び立った。
バサバサバサッ!
思わず神崎は後ろを振り返ったが、そこには男性の姿はなかった。
次の瞬間、彼はベッドから飛び起きた。
身体は冷たい汗で濡れ、心臓が激しく脈打っている。ゆっくり部屋を見渡すと、カーテンの隙間から優しい朝日が差し込んでいた。ゆっくりと壁掛け時計を見上げると時刻は六時三十三分を指していた。静かな部屋には秒針の音が静かに響いていた。
「な、なんだ――!!」
彼は急いでリビングへと向った。するとリビングのテーブル席では、タイトスカートのビジネススーツ姿の結衣が、ビューラーでまつ毛を整えていた。
「結衣――!!」
「どうしたのよ?そんな青い顔して。」
そこにはいつもの結衣の姿があった。
「なんか変な夢でも見たの?」
結衣は一瞬、神崎に顔を向けたが、気にする様子もなく再びテーブルに置いた鏡に顔を向け、ビューラーでまつ毛を整えていた。
「………。」
「い、いや……なんでもない――。」
しばらく結衣を黙って見つめていたが、神崎は静かに言葉を飲み込んだ。
「そうそう。今日、GFIの重要な会議があるから今夜は遅くなるわ。」
結衣はそう言うと、まるで秒刻みで動いているかのように素早く準備を終え、あっという間に部屋を出て行った。神崎は何か言おうとしたが、彼女の忙しそうな様子を見て、結局言葉を飲み込んだ。
水を飲んで落ち着きを取り戻した神崎は、一人リビングの席で静かに座っていた。
「どういうことだ……あれはさっきの。さっき見てたのが夢で、その前のも夢。いや?ひょっとしてこれも夢なのか――?」
神崎は混乱して頭を抱え込んだ。思考の渦が頭の中で荒れ狂い、まるで無数の針で刺されているような感覚が彼を襲う。
「神崎さん、どうしたんですか?」
そんな彼の傍らに、青白い光を揺らめかせながらAIエピメテオスのホログラム映像が現れて彼に話しかけた。神崎はその頼りない光を捉え、ゆっくりとエピメテオスの顔を見た。
「――――。」
「お前にちょっと質問していいか?」
「はい。なんでしょう?」
「もし俺がお前に奇妙な夢の話を聞かせたら、お前はこう答えるか?『そのような奇妙な夢を見ると、不安になりますよね。ですが、あくまで夢の中の出来事です。現実に影響を与えるものではありませんので、ご安心ください。』と」
「わあ、すごい。なぜわかるのですか?」
「やはりそうか…。」
神崎は目の前のホログラムの輪郭が、まるで蜃気楼のように揺らいで見えるのを感じながら、自分の中で何かを納得した。
「ところで神崎さんも出勤しなくていいんですか?」
「いや、それはいい。それよりもお前に頼みたいことがある。」
「はい、なんでしょう?」
「今は結衣がいないが、あの異空間に行く方法はわかるか?」
「はい。わかります。今から行くのですか?」
「ああ、頼む。」
そう言うと二人は結衣の部屋に入った。生活感の薄い、白を基調とした清潔な部屋。壁際には無機質な機械が並び、そこから伸びる無数のケーブルが、まるで生きた血管のようにヘルメットへと繋がっている。神崎はその冷たい感触を覚えながらヘルメットを被ると、エピメテオスは結衣のパソコンの画面に青白い光の筋を走らせた。そして神崎の意識は、唐突に異世界に飛ばされ、足元に広がる乾いた土の感触を覚えた。その傍らに、エピメテオスの姿もあった。
「あれ?……。前に来た時はこんな場所だったかな――?」
前に彼が結衣とここに来た時は、結衣が建てた風車小屋の周りには、息をのむほど鮮やかな色とりどりの花が咲き乱れていたが、今は違う。そこは彼の夢の中で見た景色が広がっていた。風車小屋を取り囲むように、土が盛り上がった畝にはジャガイモやニンジン、キャベツなどが力強く葉を伸ばし実をつけており、どこまでも広がる黄金色の麦畑がざわめき、風車がギー、ギーと音を立て静かに回っていた。
だがそこには誰もおらず、作物の生命力だけが満ちた静寂が、逆に不気味さを醸し出していた――。
「なんだ、あれは――!」
ゴゴゴゴ…
その時だった。吸い込まれるような青い空の彼方から、漆黒の巨体を持つ巨大な飛空艇が、ゆっくりと、しかし確実にこちらに向かって飛んできた。その周りを、まるで生きているかのようなうねりを見せる巨大な翼を広げたドラゴンが、威圧的な咆哮を時折上げながら飛空艇を守るように並走している。
「ギャアアオ!」
バサッ! バサッ!!
その飛空艇は、まるで空を覆い隠すようにどんどんこちらにやって来る。神崎とエピメテオスは、背の高い作物の陰に身を隠し、やり過ごすことにした。轟音と共に、その飛空艇は神崎たちの上空で巨大な影を落とし静止した。
キュルキュルキュル…
その飛空艇の中には、見上げるほど三メートルはあるような大男が、顔まで光を全く通さない漆黒の甲冑を身にまとい――広間の奥にどっしりと鎮座して座っている。その存在感だけで、周囲の空気が重く感じられる。男は静かに口を開き、地の底から響いてくるような大気を震わせる低い声で語り始める。
ゴォォォ…
『おい、この辺りをくまなく探したのか、必ずこの近くに風のクリスタルが眠っているはずだ。』
ドラゴンたちは獲物を定めるかのように地上に降り、鋭い爪が土を抉る音を立て、唸り声をあげた。
「は!ゴルドデス興、探しましたがどこにも見当たりません!」
ザッ!
彼の部下たちが一糸乱れぬ動作で敬礼をして返事をする。彼らの鎧もまた、鈍い光を放っている。
『おのれ、アダムめ。風のクリスタルをどこに隠しおったか。』
飛空艇は重々しい音を立てながらゆっくり旋回し、夕焼けのような茜色の他の空の彼方へと飛び立っていった。その後を追うように、翼を広げれば空を覆うほどの大きさの二頭のドラゴンも、風を切る音を残して飛び立っていく。
キュラキュラキュラ…
バサッ! バサッ!
「ギャアアオ! グルルル…!」
飛空艇とドラゴンが空の点となり完全に見えなくなったことを確認してから、神崎は汗ばんだ両手を芝生につき、大きく息を吐いた。心臓がまだ激しく鼓動している。
サササ…
「な、なんだったんだ。あれは――!」
「さあ、なんでしょうね? ここは不思議な空間ですから予測不可能です。」
その時、風車小屋の近くにある古びた井戸の近くに、まるで蛍火のような小さく光る点が輝いていることに神崎は気が付いた。周囲の薄暗がりの中で、その光は異質な存在感を放っている。
パァァァ…
「なんだ?あれ…。」
神崎たちは警戒しながらその小さな光の傍まで駆け寄ってみた。すると井戸の傍の乾いた草むらの中で、小さな点のような光が脈打つように閃光を放っていた。神崎は本能的な危険を感じながら、恐る恐るその光にゆっくりと指を近づけてみた。すると、
ズアアァァァ!
「え?」
シューウン!
強烈な閃光が視界を白一色に染め上げ、神崎は抗う間もなくその光に吸い込まれていくと共にその光は消滅した。
第十四話 完
第十五話に続く
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