第2話

フェアリーは続ける。

「わたしの村に今から来て頂けませんか?」

俊と薫は顔を見合わせ目線で判断を共有し、フェアリーに付いていくことを決めた。

「ありがとうございます。こちらです。森の中なので道らしい道はありません。足元に気をつけてくださいね。」

俊は薫の手を強く握り、森の中を進んだ。もう戻る道順が薫には分からなくなっていたくらい遠回りするようになったがフェアリーはできるだけ歩きやすいルートを案内してくれた。

すると、突如開けた空間にたどり着いた。苔の生えた木。その上に葉っぱや花で作られたクッションで色とりどりの鮮やかな世界だった。俊と薫は白い光のフェアリーの集まりに戸惑いながらも、数十匹いるフェアリー達に囲まれたことに恐怖を感じていた。

「俊様。ここがわたしの村でございます。村にはご覧の通りフェアリーが居ます。フェアリーは森の中に住んでいるのですが、まず初めに泉が出来ます。その泉を守りながら生気を養うのがフェアリーの生活の基盤です。それだけ、フェアリーの村の泉には力があります。さぁ、この泉の水を一口お飲みください。」

フェアリーは泉の水を器の形をした葉で掬って俊に飲むように勧めた。戸惑いながらも器を受け取り、毒物の香りがしないことを確認してから飲んだ。

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