夕焼け
いつか見た、そして、二度とは戻らないひとの、記憶のような夕焼けに、怯えて、怯えて、膝をつく。この空と云う名のキャンヴァスに、一面の朱殷を塗りたくられて、恐怖に苛まれ、頽れる。ああ、まるであのひとの色。涙に濡れた、あのひとの過去、そして、あのひとの背を一突きしたときに、溢れたもの。いつまでもいつまでも、私の脳髄にまで染み付いて、離れないであろうこの夕日に呟いた。
「わたしもあのひとの元へ、連れて行って」
共に逝こうと言ったのに、命惜しさに契りを破り、震え逃げ出したわたしを赦さないで。あなたの元へ行ったら、あの日のようにわたしを叱って。────
「けれども、わたしは、まだ生きています。しかし、もう生きるのが、厭になりました。ねえ、君。きちんとやってくれますか。この心臓を、背後から貫くことが出来ますか。先生の過去を、暴いたのですから、君も私と同じ過去を背負いなさい。これからも忘れず生きて、生きて、そうして、夕焼けを見て必ずわたしを思い出しなさい。いいですね」
まるで呪いのようですね、と、先生は哀しく御笑いになった。
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