第5話

第5話



 その日は、クリシアによる近辺の案内ですませた。


 ホアンが貸してくれた地図は、後日ということになった。


 私は、目覚めたばかりだから無理はいけないらしい。


 私自身としても、自分じゃないブリアナの身体に、戸惑いと違和感を覚えていたので諦めがついた。


 私は、焦っていても仕方ないとわかっていた。


 今日は、シフィル以外二人の王子にも、不覚にも会えることはできた。


 私は、自分をそう納得させたのだ。


 二人の王子と会った私の印象としては、できれば関わりたくないもの。


 自分ではない身体で、不自由ということもあるが、二人揃って傲慢すぎて苦手かも。


 私自身、そう感じていた。


 だが、陽がとっぷりと暮れた頃、カフライの部下から届け物が来てしまう。


 私は、当惑を隠し切れない。


 それは乗馬服と靴で、早朝迎えをよこすと、カフライからの伝言付きだった。


 王子たちの命令は、基本的に断ってはいけない。


 私は、ホアンから最初の段階で忠告を受けていた。


 それ以上に乗馬の誘いは、馬好きのもえにとって、何よりも魅力的なことだった。

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