第3章 予想外な使命 第1話
第1話
シフィルが出て行った両開きの扉から、私はホアンと室の外へ出た。
私は、目をぱちくりさせ、自分に降りかかった非現実ぶりに、夢だと思った。
その目に映る場所は、まるで城の内部のようで、見事な装飾の施された大きな円柱が立ち並び、とても豪奢なものだった。
煌びやかなシャンデリアに磨き抜かれた大理石の床。
白藍の壁には、金の縁が施されている。
博物館に収蔵していいような精緻なタペストリーや、武器や鎧などが飾られていた。
まるで城自体、美術工芸品だった。
行方不明の両親は考古学者で、決して家に居つくことはなく、旅をしていることが多かった。
十歳を過ぎた頃、私に義務教育をと両親を諭した祖母に預けられることになり、ごく平凡な学校生活を送っていた。
私自身も美術館や博物館は好きで、足繁く何度も通ってはいる。
目の前にある信じられない景観。
私は、うっとりとしている。
人けは少ない場所も相まって、しげしげと眺めてしまう。
ホアンは何も言わずにいてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます