第5話

第5話



 どうしても確かめたいことがあり、私は動くしかなかった。


 他のものを派遣するには、心配してしまうことが多々あったから。

 

 それは自国のためであり、自分のためにも。


 あの娘の血筋だと考えると、出来れば会いたい気持ちはない。


 自国としての必要性は、私の気持ち以前に、必須となっている。


 だからこそ、自分自身で動くしかなかった結果ーー。


 思ってもみなかったことが、起きた。


 召喚した娘は、以前の娘よりずっと、とても幼く見える。


 腰まである、綺麗な金髪の髪。


 神秘的な黒檀の瞳。


 おっとりとした声音だが、話してみて感じられる、知性漲る芯のある思考。


 それは娘、個人のもの。


 惹かれてしまう心。


 自分らしくなく、抑制できなかった。


 出来れば一緒にいたい。


 そばにいてもっと、知ってみたい。


 きっと、その心は本物となりつつあること。


 自分では、今までわかっていなかった感情となって。


 これから先、何があるかわからない。


 だが、いずれこの想いが必ず確信に変わるだろうという、底知れぬ予感。


 好奇心が焦りも含めて疼く。


 彼女は、夢にまでに見た何よりも誰よりもきっと、私の大切な人となり得るだろう?


 


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