〜第十五話〜

永太は朝起き、思った。

もしかして、1ヶ月後に絶対に死ぬ。そういう訳ではないのではないか。今までがそうだっただけで、もしかしたらそれ以前に死ぬ可能性もある。もし本当にそうならば、1ヶ月間彼方の側をあまり離れないほうがいい。

永太はそう考えた。しかし、この作戦はかなり負担が大きい。だが、妥協はしない。それが今回永太が決めたことだった。

学校の休み時間、放課後などは出来るだけ彼方の側にいた。また、怪しまれないように健太と優斗も一緒にいることにした。しかし、特に危険となることはなかった。

そうして、彼方が死ぬ2日前まで来た。

「まだ、彼方は死んでいない。しかし、最大限注意しなければ」

永太はそう言いながらも、彼方が死ぬのはなんとなく2日後になると感じていた。これまでの経験なのか、直感なのかは分からないが、2日後が勝負所になるだろうと思っていた。

そして、予定通り彼方の家に勉強会という名目で泊まる。もちろん勉強するフリはするが、今までのループで何回もやってきた範囲なので、永太は少し退屈していた。

「永太〜、ここ教えてくれよ〜」

急に呼ばれ、永太はびっくりする。前のループではこんなことはなかったはずだ。

「優斗に聞けばいいじゃないか。急にどうしたんだ」

「いや、優斗も分かんないらしいんだよ、お前は結構理解してそうだから聞きたいなって」

そう言われ、記憶が少し戻ってきた。確かに優斗にも解けない問題があったはずだ。しかし、その時は彼方に聞いていたはずだ。歴史が変わったのか?そう考えながらも表面上には出さず、永太は冷静を装っていた。

「そこはこうやるんだよ」

「おーありがとう!にしても永太、お前そんな頭良かったんだな!」

「確かにな、その問題俺も解くのに結構時間掛かったんだよな」

健太と彼方にそう言われ、少し動揺する。何も考えていなかったが、自分の頭は良くて中の上程度だ。この問題はテスト範囲の中でもかなりの難問。これでもし仮にループのことがバレてしまったら最悪だ。不安を抱いていると、健太が口を開く。

「さてはお前。今回のテスト結構頑張ってるな?」

「あ、あぁ。そうなんだ。今回高得点取れたらゲームを買ってもらえるんだよな!」

健太が馬鹿で良かった。そのおかげで言い訳を思いつくことができた。

「あー、だから勉強会なんてもんを開いたのか」

優斗が言う。全然違うが、そういうことにしておこう。

そうこうしている内に、夜が更けてきた。

「勉強しまくったから、めっちゃ眠い。もう早めに寝るわ!」

そういい、健太が眠る。

「俺も眠いし、もう寝ようかな」

優斗もそういい、寝転がる。

そうして、2人が寝たことにより、彼方と2人きりとなった。永太は、忘れない内に5:00にアラームをセットする。5:30にすることも考えたが、前にアラームで彼方も起きていたことを考えると、5:30のアラームで彼方が起き、そのままランニングに出てしまう危険性も考え前と同じ5:00にすることにした。

遅く寝てアラームで起きれないといけないので、早めに永太は寝ることにした。

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