〜第十六話〜

アラームが鳴り響き、永太は起きる。スマホを確認すると、5:00と表示されている。前と同じなら、彼方ももうじき起きるはずだ。

そう考えていると、彼方の体が動く。

「お前、もしかしてアラームつけてたか?」

イライラしているような顔で、彼方は言う。

「あれ、おかしいな。6時でアラーム付けてた気がしたんだが。悪い、1時間ズレてたみたいだ」

「そうか。まあいいけど次から気を付けろよ。俺は寝る。お前も6時に起きる予定だったんなら寝な」

そう言われ永太も寝転ぶ。しかし、寝ることはない。5分程経ったので、音を立てないように部屋を抜ける。

リビングに入り、前と同じ場所にあるインスタントコーヒーを取る。少し眠くなりそうになりながらも、なんとかコーヒーを作り、カフェインを摂取する。

スマホの電源を付けると5:08と表示されていた。まだ時間がある。彼方の親が起きてくるにしても40分程待たなければならない。

結局、テレビを見て過ごすことにした。彼方の両親を起こしても行けないので、音量をかなり低くして見ることにした。

テレビの内容はあまり興味があることではなかったが、何もないよりはマシだった。気が付けば、5時50分が来ようとしていた。なんだか罪悪感が出てきたので、テレビを消して彼方の両親が来るのを待つことにした。

3分程で彼方の両親は来たが、その時間が永太には長く感じられた。

彼方の両親と前と同じ会話を交わし、お茶を淹れてもらった。お茶を飲んでいながら待っていると、彼方が降りて来た。

「よう、お前早いな。あの後ちゃんと寝たのか?」

「いや、結局あんま眠れなくてな。リビングに降りて少し待ってたんだ」

「そうか、まあいいけど。じゃあ俺日課のランニングに行ってくるわ」

「待て、俺も久しぶりに走りたいからついて行っていいか?」

「おお、マジか。全然いいぜ」

なんだか前と少し反応が違う気がしたが、勘違いかと思い永太は特に気にしなかった。

さっさと着替え、彼方に置いていかれないように、早めに着替えた。

「おい、彼方。永太くんに合わしてやれよ?」

玄関まで行くと、彼方の父親がそう言った。しかし、彼方は何も言わず玄関を開けて外へ出た。

「おい、返事しなくて大丈夫なのかよ?」

「大丈夫だよ、別に何もないさ」

少々不安を抱きながらも、永太は彼方について行った。

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