〜第十四話〜

「6月、4日?」

永太は何度も目を擦って確認をする。しかし、そこに表示されているのはどう見ても6月4日だった。

「本当に戻ったのか...?」

もう戻れないと思っていた永太は、気付けば涙を流していた。

「もう一度彼方に会える。もう、失敗はしない」

永太は覚悟を決める。すると、下から声が聞こえる。

「永太〜?もう7時35分よ?早く降りないと遅れるわよ〜」

呑気な声で母親が言う。もう少し喜びを感じたかったが、永太は仕方なく着替えて降りることにした。

リビングには1ヶ月前にみた朝食と全く同じものが並んでいた。それを食べ、学校へと向かう。学校に向かっている間、永太はなんだか清々しい気分となっていた。それと同時に、今度こそ彼方を助けるという決意も漲っていた。

「今回こそ終わりだと思え」

永太は、自分を鼓舞するようにそう言った。永太は授業を受けていたが、なぜだか時間が早いように感じる。学校が終わり、放課後となる。一度家に帰り、健太からの連絡を待った。待ちきれず、自分から連絡しようかと思ったが、やめておいた。

数分後、健太からメールが来た。既に着替えていた永太は、まだ時間があるにも関わらず駄菓子屋の前に行くことにした。

毎回先に来ていた優斗も流石にまだ居なかったので、考え事をして暇を潰すことにした。

そうこうしていると、優斗がこっちに向かって来ていることに気付いた。

「おーい。優斗!」

「うわ、びっくりした。来るの早すぎだろ。てか、遠くから見た時お前が見えなかったんだけど、いつから居たんだ?」

優斗が驚いた顔をしながらも質問をする。

「少なくとも5分前には居たはずなんだけどな。お前が見逃すなんて珍しいな」

「本当か?じゃあ俺がちゃんと見てなかったんだな」

そんなことを話しながら健太と彼方を待つ。

10分程経った時、健太と彼方が来た。

「よう、早いな」

「お前らが遅いんだよ」

優斗がそう言い、2人を睨む。

「まあまあ、いいじゃねえか。あれ、永太も居たのか。遠くから見た時居なかった気がしたんだけどな」

そのような話をして、この後遊び解散となった。

家に帰り永太は考える。過去に戻れたからといってあまりうかうかしてられない。しかし、永太はもう特に考えてはいなかった。前回と同じ流れにし、出来るだけ彼方の側を離れない。これが、永太の考えうる最大のことだった。諦めたわけではない。どんなことがあっても対応する。そのために、作戦を最低限にしようと考えてのことだった。

「後1ヶ月しかないんだ。出来ることをしよう」

そう考え、永太は眠りについた。

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