〜第十二話〜
永太は、住宅街を駆け抜けていた。山へ着くのは最短でも後5分程掛かってしまう。これまでの疲労感などもあり、かなり辛い。また、長時間走っているせいか足も痛くなってきた。
「山へは後5分は掛かる。走らないといけないのに...」
永太はかなり疲れており、足の痛みも含めて走るのが困難となっていた。スマホを確認してみると、6:10を指していた。最低でも後10分程で山へ行かないといけない。
「足が痛い。早く行かなければならないのに足が動かない...」
永太は足を一歩、二歩と動かすが、進んだ量は微量でしかない。腕も疲れからか、完全に垂れ下がってしまっている。少し前を見てみると、ベンチがあった。永太は迷いながらもベンチに座ることにした。
ベンチに座り、少し休憩する。疲れが取れてきたからなのか、徐々に頭が働いてきた。すると、急に焦りと不安が襲ってくる。彼方はもう死んでいるのではないか。もう間に合わないのではないか。ここで休んだことで助かる命が助からないのではないか。ネガティブな思考が永太の頭の中を埋め尽くす。
「こうしちゃいられない。早く行かないと!」
永太が立つと、いつの間にか足の痛みは引いていた。疲れも少し取れているため、全力では無理かもしれないが、走れる状態となった。
数分後、永太は山の入り口に立っていた。スマホで時間を確認することを考えてたが、そんなことをしている暇はないと思い、永太は山へ入っていく。走っているため、雑草や小枝などが服に纏わり付いてしまうが、永太は気にせず奥へ走っていく。
そして、永太は奥の広場に行き、目を凝らす。
「いない...」
そう言いながら、広場の中へ入っていく。どこを探しても、彼方は見えない。そして、奥まで行き下を見ると、そこだけ少し凹んでいた。前と同じ場所だ。
「ああ、助けられなかったのか...」
そう呟き、彼方は土の色が違う所を掘る。その手には力が入っていなかった。
そして完全に掘った所には、冷たい彼方がいた。
永太は、何もせずにその場を去る。しかし、永太は絶望していなかった。家に帰り、ベッドに寝転がる。
そして、永太は「次のこと」を考えていた。そう、永太は今回もループをすると踏んでいた。なぜなら、ループが終わるとしても2回では終わらないだろう。また、彼方がなぜ死んでいるのか。など、疑問が残されているのだ。これでは終わらないだろう。
そう、永太は2回のループによって楽観的になってしまっていた。
そうこうしている内に、夜が来ていた。永太はループをするために、寝ることにした。
そして、永太が起きスマホを見ると、そこには7月5日と表示されていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます