〜第十話〜
永太はアラームが鳴ったことで起きる。寝起き直後のため、永太は脳が働いていなかった。しかし、少し経ち状況を思い出した永太は一度アラームを止めるべくスマホを開く。そこには5:01と表示されていた。時間通り起きれたことに安堵しながらも、アラームを止める。そして、永太は周りを確認する。不安があるためか、無意識にゆっくりと目と体を動かす。左側を向いた時、永太は動きを止めた。
そこには、彼方がいた。アラームのせいなのかもしれないが、少し起きそうになっていた。永太がそれを見ていると、彼方が起きた。
「お前、もしかしてアラームつけてたか?」
イライラしているような顔で、永太に向かって言う。
「ああ、悪いな。起こしちゃったか。昨日早く起きないといけなくてアラームつけてたんだが、OFFにするのを忘れてたんだ」
焦りながらも、永太は筋の通っている言い訳をした。自分でも驚いていた。永太の頭には様々の感情が交差していたが、とても冷静であった。
なぜなら、ここで終わりではないからだ。むしろ、ここからが本番だろうと永太は考えていた。
「まあ、いいけどよ。俺はもう少し寝ることにするぜ。今、何時だ?」
「ええと、今は5時だな」
「早すぎるだろ。お前ももう少し寝た方がいいんじゃないか?」
「いや、俺は眠気が覚めちゃったし、リビングに降りとくよ」
「リビングと親の寝室が近いから、あんま大きな音出すなよ?」
返事をしないまま、永太は下へ降りた。彼方の前では眠気がないと言っていたが、永太はかなり眠たかった。しかし、寝るわけにはいかない。
「確かここら辺だったよな...」
永太が探しているのは、コーヒーだった。カフェインを摂取し、眠気を覚まそうとしていた。
「中々苦いな」
コーヒーを飲みながら永太は呟いた。しかし、カフェイン摂取によるものかは分からないが、永太の眠気は完全になくなっていた。
このまま、彼方が降りてくるのを待つことにした。
おそらくこれが最後の戦いになるだろう。コーヒーを啜りながら永太はそう思った。
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