〜第五話〜
永太が起き周りを見ると、彼方はいなかった。
その瞬間、眠気が完全になくなり、永太にとてつもない不安が襲ってきた。
過去に戻ったのに、彼方を助けられなければ意味がなくなってしまう。
家中を探し回ったが、彼方の姿は見えない。探している途中、彼方の親を見かけた。さっきは焦りで挨拶だけしたが、もしかしたら彼方を見ているかもしれない。
そのような考えが浮かび、彼方の親がいたリビングへと向かう。
「すいません。彼方くん見てないですか?」
「あぁ、彼方なら散歩に行ったよ。最近は朝に散歩するのが趣味らしくてね」
「本当ですか!ちなみによくどこへ行っているとかは分かりますか?」
「うーん、そこまでは分からないな。でも後30分もしたら帰ってくると思うから、ゆっくり待ったらどうだい?お菓子でも出そうか?」
「ありがとうございます。でも、彼方くんのことが気になるのでちょっと外に行ってきます」
言い切るや否や、永太は外へ出る。時間はもうない可能性がある。すぐに行かなくてはならない。
外へ出て5分ほど経ったが、一向に彼方が見つかる気配がない。朝早くだったので人が少なく、彼方を見たか聞くこともできない。色々と考えている間に、疲れてしまったのでベンチに座ることにした。
「あいつ、どこ行ったんだ」
永太は呟く。休憩している間に、頭が冷静となる。そして、冷静となったことで、とある考えが浮かんでしまう。彼方がもういなくなっているのではないか?というものだった。
そのような事を一度考えてしまった為、他のことを考えようにもその考えが頭から離れない。その考えの答えを知るため、永太はまた走り彼方を探すことにした。
少し走った後、人を見かけたので彼方がいたか聞くことにした。
「すいません、この辺りで、僕ぐらいの身長の人を見かけませんでしたか?」
「ああ、それなら10分程前に見たよ。ええと、確か山の方向に行ってた気がするな」
「分かりました。ありがとうございます」
なぜ彼方は山の方向へ行ったのか。そのような考えが頭をよぎったが、後どれほど時間があるか分からなかったので、すぐに山へ行くことにした。
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