合流-自己紹介-

 -この世界に来て、初めての夕方。

 隊長との面会を終えた俺は、再びルーキー達の元に足を運んだ。…すると、直ぐに彼らは出迎えてくれる。

『………』

「どうやら、答えは決まったみたいだな。

 -なら、自己紹介といこう」

 彼らの顔には決意が浮かんでいたので、段階を一つ進める事にする。当然、言い出しっぺの俺からだ。

「俺は『ライト』。こっちは、シャイニングドラゴンのヴァイス」

「宜しくお願いいたします」

「レベルはお互いカンストしてて、アイテムコンプもしてる。更に、この世界を隅から隅まで冒険してるから存分に頼ってくれ」

「…ま、マジか」

「…確か、発売してから3ヶ月くらいしか経ってないよね?」

「…通りで、ヤバいアイテム持ってる訳だ」

 それを聞いたルーキー達は、予想通りの反応をした。…まあ、とりあえず『アレ』の説明はこれが終わってからだ。


「…じゃあ、次は俺だな。

 -俺は『エンジ』。こいつは、バーニングドラゴンのクリムゾンだ」

「…宜しくな」

 次に自己紹介したのは、年長者の男だ。…そしてその相棒は、龍騎士と同じ赤い髪をしたワイルドなイケメンだ。

「へえ。『自分より弱い者には従わない』と言われてるバーニングドラゴンがパートナーとはね」

「…本当、良く知ってるな」

「…確かに、主はまだまだ未熟だ。でもハートはこの俺と同じくらいアツいからな」

 すると、彼の相棒はこちらに少しビビりつつ主を認めた経緯を語る。…多分、『主にケチをつけられた』と思ったのだろう。本当、見た目通りの熱血タイプである。

「…だろうな。

 だって、こうして大切な者達を守る戦いに挑もうってんだから」

「…へっ、分かってんじゃねぇか」

 俺がそう返すと、熱血な相棒は機嫌良さそうにした。…やはり、このドラゴンは分かりやすい性格をしてるな。これなら、『万が一』もないだろう。


「…ちなみに、俺達のレベルはどちらも30に到達している」

「レベルも問題無し、と。…もしかして、同じ開発元のゲームをしてました?」

「…本当凄いな。その通りだ」

「……?」

「まあ、要するに『サクサクプレイ』の為に敢えてパートナーのレベルを上げ過ぎないようにしてるのさ」

「…っ!…え、このゲームもそういうのがあるんだ」

 かいつまんだ説明をすると、緑髪のルーキーは理解した。…予想通り、こっちのゲーム知識はそこそこといった所だろう

「…っと、話しを戻そう。

 とりあえず、装備とか後で纏めて聞くから次の人に行こう」

「…じゃあ、俺だ」

 すると、二番手はそいつになった。ちなみにそいつは、俺と同い年くらいでマントを装備していた。…確か、一番最初に手に入る隠密系のアイテムだったな。


「俺は、『ウィル』。コイツは、サイクロンドラゴンのグリーンだ」

「宜しく~」

 主の紹介に、のほほんとしたイケメンはヒラヒラと手を振る。…本当、風のドラゴンはこんな時ものんびりしてるな。

 だが、裏を返せばどんな時も冷静に行動出来るという事だ。それに、『世界を流れる風から常に情報を得ている』というだけあって、いざという時は誰よりも迅速に動ける。

「…しかし、『自由を愛し束縛を嫌う』サイクロンドラゴンとそのマスターが、赤の他人と団体行動してるとはな」

「…まあ、こんな状況だしな。流石に、身の安全が優先だ」

「…だよね~。…まあ、一番の理由はボクのマスターが『危機管理能力ゼロ』だったからなんだけど」

「…うぐっ。はあ。どうせ俺は『初心者』ですよ」

『ウィンドカッター』並みの言葉に、ウィルは肩を落とした。…風のドラゴンは、こういう風に主にも容赦なくズバッと言うのだ。だがこれは主を思っての忠告だし、龍騎士側も素直に受け入れるから強くなるのが早いのだ。


「…で、レベルは俺が31でこっちが33になるかな」

「ほう。序盤でしっかりと、『コツコツ』やったのかな?」

「ああ。…でも、ある程度いった所でログアウトしようと思ったら、何故か出れなくなったんだ。

 でも、途方に暮れた時エンジさんと会えたおかげで何とかやってこれたんだ」

「…なるほど」

 どうやら、彼らは偶然巡り合ったようだ。…そして、一つ気になる事を思い出したので確認する事にする。

「…ちなみに、『こっち』で異変が起きたのは9月の10日だ」

「…え?…ちょ、ちょっと待て。

 確か、俺がゲームを始めたのも『同じ』日だ」

「…どういう事だ?少なくとも、私達がこの世界に閉じ込められて今日で4日目だぞ?」

「…もしかして、ゲーム内時間のせいでズレが起きているとか?」

 すると、水色の髪の少女が俺と同じ予想を口にした。…多分、彼女は他の作品をかなりやっているとみた。


「…それしか考えられないだろうな」

「…マジか」

「「……」」

「…さて、とんでもない事実が発覚したところで最後の人に行こう」

「…凄くやりづらいんですけど。…はあ。

 -…私は、『レイン』。彼女は、水を操るハイドロドラゴンのブルーよ」

「お初にお目にかかります」

 深いため息を吐いた彼女だが、直ぐに切り替えて自分と相棒を紹介した。すると、青く長い髪の女性が頭を下げる。…やはり、水のドラゴンは礼儀正しいな。

 それに、これからの旅において間違いなく必要な存在だ。…戦力的な意味は勿論、衛生的な意味でも。

「お、『綺麗好きで世話好き』の貴女が居るなら『洗い物』の心配はないな」

「はい。どうか、そちらの方もお任せ下さい」

 そう言うと、彼女は微笑みながら返す。…一人分増えた所で、苦ではないのだろう。むしろ世話出来る人が増えて、とても嬉しいのだ。


「…パートナードラゴン以外の性格を良く覚えてるわね?」

「製作元が出してる別作品にも、こういう要素があったからな。だから、自然と覚えてた」

「…なるほどね。…私達も、なるべく覚えた方が良いかしら?」

「是非そうしてくれ。…それに、覚えておけばいろいろと『役立つ』だろうから」

「分かったわ」

「…しゃあないか」

「後で教えてやるよ」

「「…っ」」

 すると、年長者は教師役を買って出た。…やはりこういう時、『詳しい人』が居るとかなり助かる。


「…あ、私達のレベルは29よ」

「…もしかして、『推奨レベル』で攻略するタイプか?」

「それもあるけど、なんか経験値にバラつきがあるのよねぇ」

「…多分、『プレイヤー組』の経験値しか設定されていないせいだろう」

「…あー、そうかも。このゲーム、NPCには経験値入らないですからね。

 それに、多分レインは『魔導士スタイル』だろう?」

「…まあ、流石に分かるわよね。…っ!もしかして、敵と離れて戦う私達は『控え』の扱いになるって事?」

 何故なら、彼女はいかにも魔法使いが着てそうなローブを装備していたのだ。そして、当然ドラゴンに騎乗しない戦闘ではある程度敵と距離を取る必要がある。

 -だが、他のプレイヤーが居る場合システムという名の『強制力』によって、彼女は直接戦闘に参加していない判定になるのだろう。


「…だが、このゲームに『控え』のシステムがあるのか?」

「…そこなんですよね、一番不思議なのは」

「…マジで?」

「…じゃあ、どうして私達にも経験値が?」

「…さてな。…なので、ここは『知ってそうなお方』に聞いてみようと思う」

「「「…?……っ!?」」」

 三人は直ぐにはピンと来ないが、昼のトラブルを思い出しギョッとした。…多分、部隊とのやり取りをしっかりと聞いていたのだろう。

 オマケに、三人共ゲーム開始時に『面会』をしているから直ぐに察せる筈だ。…そんな事を考えながら、俺は伝令役を召還する。

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