合流-やるべき事-
『-クキュウッ!』
『……へ?』
「それじゃ、頼むな」
『クキュウッ!』
当然、三人はポカンとした。だがとりあえず先にメールを伝令役に預ける。…すると、伝令役は瞬く間に消えた。
「…い、今のは?」
「…なんか、あのデザイン見た事ある気がするんだが?」
「…あ、あれ?どうしたの?」
『………』
すると、ルーキーの相棒達は口をあんぐりと開けていた。やはり、龍騎士達とは違って直ぐに伝令役の『正体』を察したようだ。
「…マジで、さっきワイバーンって何者だ?」
「あのコは、特別な『使い』だよ。…っと」
そうこうしている内に、目の前にまた伝令役が現れた。そして、その足に握られた手紙を取ると直ぐにメッセージウィンドウが開く。
「-…なるほど。どうやら、異変が起きた時に『世界のルール』が一部変わったらしい」
「「「…っ!?」」」
『……』
それを聞いて、ルーキー達はかなり驚く。一方彼らの相棒達は、感動の表情を浮かべる。…しかし、流石は『世界の要』。まさか、システムを弄る事も出来たとは。
「…つ、つまり、そのおかげで戦闘に参加した全員に経験値が入るようになったと?」
「そういう事。…ただ、改変している最中に送り出した有志連合の危機を察知した事で、その時は完全には変えられかったようだ」
「…じゃあ、今はどうなの?」
「勿論、『今なら大丈夫』と書かれている。…だが、それをやるには一つ大きな問題を解決しなければならないようだ」
「「「………?」」」
「「「……っ」」」
ルーキー達は首を傾げるが、彼らの相棒達はまたピンと来ていた。…多分この世界のドラゴン達は、仔の時から創世龍の事を聞かされて育ったのかもしれない。
「「「………」」」
「…では、僭越ながらワタクシが」
すると、相棒達の様子に気付いたルーキー達は視線を向けた。…それを受けて、ブルーが恐縮しながら手を挙げる。
「頼む」
「…はい。
-創世龍様の権能は、元は一つの『宝珠』でした。それが、かのお方の純粋な願いによって様々な権能になったと、ワタクシはお母様から聞きました。
故に、かのお方の権能は『繋がって』いるのだそうです」
「「「……っ!」」」
その話を聞いて、龍騎士達も気付く。…要するに、『改変』を使おうとしたら奪われた権能が反応し、敵にこちらの動きを読まれてしまうのだ。
しかも厄介な事に、どの権能を使おうとしているかがある程度分かるという。…だから、迂闊に改変は出来ない。
「…だから、なんとしても奪われた権能を取り戻す必要がある。でないと、人が増えた時のレベル上げがかなりの苦行になってしまう。
それは、全体のモチベーション低下に繋がりいずれ『闇堕ち』する奴が出てくるだろう」
「「「……」」」
「だから、今直ぐにってのは無理だ。なにせ今の俺達じゃ、返り討ちされるのが目に見えている」
「「……っ」」
「…君でもか?」
「ええ、残念ながら。…実際、俺もラスボス戦では多くのNPCの力を借りましたから」
「…え?龍騎士と相棒だけじゃ無理なの?」
「…そんなに強いのか?」
「…ああ。まさに、『針の穴に糸を通す』ような戦いだったな。まあ、あんまりは語らないでおくよ」
「「…あっ」」
「…では、どうする?」
二人が感謝した顔になる一方、年長者は方針を聞いてきた。…なので、俺はインベントリからワールドマップを取り出し、三つのピンを刺した。
「やっぱ、地道にレベル上げをするのが一番の『近道』でしょう。
だから、三人にはこれからセカンドエリアにある三つのダンジョンに挑戦して貰う」
「…俺達だけでか?」
「ええ。実は、この三つのダンジョンは龍騎士用のダンジョンなんですよ。…あ、ちなみに戦闘は『ほとんど』発生しないので安心して良いよ」
「…あるにはあるんだね」
「…その間、俺達はどうすんだ?」
ここで、クリムゾンが質問してきたので俺は新たなピンを刺す。そこは、セカンドエリアで一番デカイダンジョンだった。
「当然、ドラゴン側もここで鍛えてもらう」
「…あれ?なんか聞いた事あるかも~?」
「…あっ。確か此処は、ワタクシ達の為の鍛練場ではありませんか?」
「その通り。ドラゴン側には、ここでスキルと魔法習得して貰う」
「…分かった」
「…仕方ないか~」
「頑張ります」
すると、ドラゴン達もやる気になった。なので俺は、マップをしまい立ち上がる。とりあえずこれで、今日やる事は終わりだ。
「あ、俺はその間近くの街で有志の情報収集するから。…んじゃ、今日はこれで解散な」
「「お疲れ」」
「お疲れ様です」
「…それと、明日はこっちの時間で朝8時に出発するから」
「「「…っ!了解」」」
最後に、出発時間を決めて俺と相棒は部屋を後にする。そして、真っ直ぐ自分の部屋に戻ると顔に着けていた特殊なアイテムを外し、身体を綺麗にしてから眠りに着いた-。
◯
「-…っ!…?」
翌朝。ふと目を覚ました俺の目に、知らない天井が飛び込んでくる。…だが、直ぐに此処が異世界だと思い出した。
「…っと」
そして、ある程度目が覚めたのでゆっくりと身体を起こす。…しかし、思いのほかしっかりと眠れたな。正直、不安だったので良かった。
どうやら俺は、寝具が変わっても気にならないタイプらしい。…そんな事を考えつつ、朝の身支度を整え部屋を出た。
「-…っ。…おはよう」
「ああ、おはよう。早いな」
そして階段を降りようとすると、丁度レインと出くわした。…どうやら、彼女もしっかり寝れたようで表情はしっかりしている。
「…そっちもね。…何か、やってた?」
「いや。まあ、多分遺伝だと思う」
「…そう。私は、早い時間からの仕事だから」
「ほー、ご立派。…てか、もしかして年上?」
「ううん。多分、同い年の筈よ」
ふと気になったので確認すると、彼女は首を振りそう言った。…つまり、彼女は中卒で社会人をやってる事になる。もしかして、かなりのワケありなのだろうか?
「じゃあ、口調はタメのままで良いな」
「……」
頭ではそんな事を考えつつ、俺は全く違う事を口にした。…すると、彼女は少し驚いた表情を見せる。
「…聞かないのね。私の事情を」
「だって、言いたくないだろう?」
「…そうね」
「なら良いよ。…それに、多分『ハッピーエンド』を迎えたら『忘れる』だろうし」
「…っ!…確かに、ありそうね」
俺の予想に、彼女は同意する。…多分、その手のゲームもやった事があるのだろう。いや本当ゲーマーは理解とかが早いから助かる。
「…あ、もう居る」
そうこうしている内に、一階に到着した。すると、既にエンジ氏が待っていた。やはり、社会人だけあってこういう所はしっかりしているようだ。
「よお。おはよう」
「「おはようございます」」
「…ウィルはまだか?」
「ええ」
「…もしかして、寝坊癖があるのか?」
「ああ。…まあ、急に異世界に放り込まれてまともに安眠出来る訳がないんだがな」
年長者は、仕方ないといった様子でフォローする。…多分、これからもこういう事は起きるだろうから対策が必要だろう。とりあえず、彼が起きて来たらアレを飲ませよう。
「-…ふぁああ。おはようございます」
丁度その時、緑髪のウィルが降りて来た。…やはり、きちんと眠れなかったようで随分と寝不足のようだ。
「「おはよう」」
「おはよう。
ほら、これでも飲んでシャキッとしろ」
「…ん?何だこれ?」
「確認してみな」
「…えっと。…あ、眠気覚ましか。
じゃあ、有り難く-」
そう言って、彼はポーションをゆっくり飲んでいく。そして、飲み終わると少し目が覚めた様子になった。
「…サンキュー」
「どういたしまして。…じゃあ、まずは朝食に行こう」
「…ああ。…っ!い、いやちょっと待て」
その段階で、彼はある事に気付き慌てて止めてくる。…しかし、他の二人が落ち着いている所を見るに多分彼だけ『知らなかった』のだと思う。
「ああ。俺達の相棒なら、多分近くのフィールドで『散歩』でもしてんだろ」
「…は?」
「ああ、間違いない」
「なんか、ワンちゃんみたいですよね」
なので、相棒達の居場所と何をやってるかを教えてやる。…当然彼はポカンとするが、仲間達は肯定したり微笑んだりした。
「…マジか。全然知らなかった」
「まあ、朝限定で尚且つ街に滞在している時にしかやらないがな」
「…なるほど。あ、でも大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。一応、相棒に『アレ』を渡してあるから」
「…例のアイテムか。…結局、アレってなんなんだ?」
「…その話は、後でで良いだろ。今はご飯食べるのが先だ」
「…はい」
「では、案内しますね」
すると、年長者はお腹に手を当てながら話を中断させる。なので、俺達は宿を出て近くの飯屋に向かった-。
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