探索-次の目標-
「…彼らがこの街に滞在している事は覚えているのだが、何故かどんな容姿をしていたかは覚えていないのだ」
「…勿論、街に入る時に『鑑定』はしていますので危険な人物でないのは確かです」
「………」
「…マスター、どうしますか?」
どうやら、俺達の追っている奴らは相当なワケアリのようだ。…だが、他に頼れそうな奴らがいない以上諦める事は出来ない。
「…とりあえず、直接会って話してみるしかないな。…そうでないと、説得も出来ない」
「…確かに、そうですね」
「「……」」
「…では、お忙しいところありがとうございました」
「…いえ。大してお力になれず、申し訳ない」
「とんでもない。…ああ、そうだ-」
「「……?」」
「-俺はライト。もし、今の状況をどうにかしたいと思ったら『始まりの地』に向かえ」
申し訳なさそうにする二人に、俺は灰色の小さな石を取り出した。そして、それを口元に運んで言葉を口にした。
「…それは?」
『-俺はライト。もし、今の状況をどうにかしたいと思ったら『始まりの地』に向かえ』
「…っ!」
「これは『声の石』と呼ばれるアイテムで、こんな風に声を記憶するんですよ。
-もし、この街に『有志』らしきコンビが来たらこのメッセージを聞かせてあげて下さい」
そう言って、俺は机の上に石を置いた。…すると、隊長はそれを手にする。
「…どうやら、私達でもお役に立てる事があるようだ。
-そうだ。もし良ければこれを持っていくと良い」
そう言って、隊長は机に行き小さな箱を取り出しそれを持って戻ってきた。…見た感じ、小さな金色の龍のバッヂといったところか。
「これは、『特命龍騎士証』という物だ」
「…特命龍騎士証」
またしても、見た事のないアクセサリーが出てきた。…いや、どこかの訓練生がチラッとしていた気がする。
だが、いろいろと確認した結果没アイテムである事が分かったのだ。それが、今目の前に存在している。
「これを身に付けていれば、身分を偽ったまま都市に入る事が可能だ」
「…っ!もしかして、他の街でも検問が?」
「…ええ」
「…なるほど。
-では、『混沌の力』に取り込まれた者の特徴を共有しておきましょう」
「…っ!」
「是非頼む」
「分かりました。まあ、見分け方はとても簡単です」
「…そうなのか?」
「はい。
混沌の力に取り込まれた者は、とても粗暴になるんです。恐らく、闘争本能が抑えられなくなるからでしょう」
「「……」」
俺の説明に、二人は唖然としていた。…ちなみに、何で詳しいのかというと実際エネミーとして出て来るからだ。
-その名は、『カオスドラゴン』と『混沌に堕ちた龍騎士』。…ゲーム終盤、この『闇堕ちコンビ』とかなりの割合いでエンカウントするのだが、なんと初エンカウント時に専用イベントが存在するのだ。…もし、『それ』で負けてたらトラウマが刻まれていただろう。
だって、後少しでラストエリアの最初の街に到着しかけたタイミングで、バックアタックをしてくるのだ。
オマケに、使徒戦みたく時間帯は強制的に夜中となり強化されるときている。…そしてトドメとばかりに、こちらのパートナーの攻撃に耐性があるときている。
なので、いわゆる『負けイベント』と思われているのだが、負けたら普通にゲームオーバーになる。…つまり、勝つ事が出来るのだ。
いやはや、マジで『浄化技を覚えておいた方が良いぜ』…っていうアドバイスに従っておいて良かった~。
「…ならば、そのような者を発見したら即座に浄化作戦を行うべきですね」
「…だな。…貴重な情報、感謝する」
「いえ。…それでは、これで失礼します」
「失礼します」
「ああ」
「ありがとうございました」
やるべき事は終わったので、俺達は再び変装してから部屋を後にする。そして、一旦宿屋で休憩を取りつつパレスに連絡をした。
「-…そういうワケですので、俺達はこのまま彼らを追い掛けます」
『分かりました。…引き続き、宜しくお願いいたします』
「お任せを」
巫女が深く一礼した後、コンタクトウィンドウは閉じた。…それにしても、まさか直接やり取りが出来るとは思わなかった。
『クキュウウッ』
「ありがとうな」
『クキュウウ~』
「良し、行くか」
「はい」
そして、イーリンもウィンドウの中に戻ったので俺達は行動を開始する。まずは、街を出て適当な場所で転移を行う必要がある。
「-…しかし、困りましたな」
「…ああ。これは、骨が折れそうだ」
街を出る途中、相棒は先程の事に触れた。…三人組の探索は、かなりの難易度になる。下手すると、俺達でもスルーしてしまうだろう。
「とりあえず、セカンドエリアの最初の街で待ち構えてみよう」
「…ですな」
そして、門から十分離れた場所に着いたので俺は転移の魔法道具を使用する。直後、またしても瞬時に目的地に移動していた。
「「……」」
とりあえず周辺を警戒し、更に涙石の状態を確認する。…どうやらこの辺りも、今のところトラブルは起きていないようだ。
ただ、もしかしたらまた未知のイベントが発生するかもしれないので、気を引き締めてセカンドエリア最初の街である『アンセ』の街に向かう。
『-検問にご協力下さいっ!』
すると、情報通り検問が行われていたので俺はインベントリから例のバッヂを出し、アクセサリー欄に装備する。
「…っ!マスター」
「…どうした?」
「…あの列の中に、龍と波長を複数感じます」
そして、いざ検問待ちの列に並ぼうとした時ふと相棒がそんな事を口にした。…今回は、アタリかもしれない。
「…とりあえず、街に入ったら直ぐに詰所に行くぞ」
「防衛部隊の協力を得るのですね?」
「んで、『アタリ』を引いたら接触をする」
「分かりました」
即座に方針を決めた俺達は、自分達の順番が来るの待った。…それから少し時間が経ち、いよいよその時が来た。
「-こんにちは。ようこそ、アンセの街へ」
「申し訳ありませんが、検問にご協力を-」
門番の言葉の途中で、俺はそっと例のバッヂを見せた。…すると、門番の顔色が変わる。
「…はい。ありがとうございます」
「…それでは、どうぞお通り下さい」
だが、流石ベテランの風格を纏っているだけあり二人の門番は直ぐに冷静になり、俺達を通してくれた。
「…さて、詰所は街の南側だったな?」
「はい」
なので、俺達は早歩きで詰所を目指した。…すると、どういうワケか詰所の方から二人組の騎士がやって来た。
「やあ、こんにちは」
「はじめまして、『旅の方』」
「…こ、こんにちは」
「…何か、我々ご用でしょうか?」
なんとなく予想は付くが、とりあえず緊張した感じで聞いてみる。…直後、片方の騎士が素早く距離を詰めて来た。
「…このまま、詰所にご案内致します」
「…わざわざ出迎えていただき、ありがとうございます」
「では、お手数ですが私に合わせて下さい」
そして、騎士は何事もなかったかのように離れ手を差し出して来た。…なので、俺はその手を掴む。
「君達を歓迎するよ」
「これから、宜しくな」
「…っ!はい。こちらこそ宜しくお願い致します」
「宜しくお願いします」
多分、『部隊の新入り』の出迎えをした先輩を演じているのだろう。だから、俺達は深く頭を下げた。
「じゃあ、案内するよ」
「「お願いします」」
そして、二人は歩き出したので俺達はその後に続いた。…しかし、さっき門を通過したばかりなのにもう出迎えに来るとは思えなかった。
恐らく、しっかりとした『マニュアル』が用意されているのだろう。
そんな事を考えている内に、俺達は詰所に到着した-。
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