探索-謎の3人組-

『-マスター』

「良し、行くぞっ!」

 そして、俺は相棒に騎乗し直後空へと舞い上がる。その時には既に、防衛部隊とモンスターはぶつかり合っていた。

 まあ、このエリアに飛行型の大型モンスターはいないから、防衛部隊が苦戦する事はないだろう。…では、何故加勢するのかというと変装したまま街に入る為だ。

 確か、ああいう友好的なNPCに恩を売っておくとこちらを信用してくれるのだ。なので、こちらが変装していても詮索や解除を要求されないと思う。

『-っ!何者だっ!』

「義によって、助太刀いたすっ!」

 やがて部隊へと追い付くと、当然向こうは警戒する。だから、俺は芝居掛かったセリフを口にした。

『なんだとっ!?』

「では、右はお任せあれっ!」

『行きますぞっ!』

 それを聞いた向こうは驚き、更に俺達は返事を待たずに攻め手が足りない右へと向う。…見た感じ、厄介な奴は居ないようだ。


「-ホワイトブレスッ!」

『イエス、マスターッ!』

『ビャウウウッ!?』

 なので、俺は早速相棒に『手加減』の指示を出した。すると相棒は、地上に向けて白いブレスを放つ。…直後、モンスター達は瞬時に消えて行った。

「良し、次っ!」

『イエス、マスターッ!』

『…っ!ルーキーに遅れを取るなっ!』

『おおっ!』

 援護に回るべく中央に引き返すと、部隊の隊長と思われる騎士が檄を飛ばす。…そう。先程手加減したのは、魔力の温存とこちらの事を新米コンビだと認識して貰う為だ。

「…良し。後は部隊に任せよう。俺達は、討伐漏れを狙う」

『イエス、マスター』

「…おっ!」

『参りますっ!』

 そして、俺達は早速運良く部隊から逃れた奴らに向かって降下し、剣で切り裂いて行った。

『ギャアアアッ!』

『助かったっ!』

『良し、後少しだっ!』

『オオッ!』

 部隊は更に優勢となり、それからは一方的な殲滅となった。…そして、戦闘開始から約30分後に最後の一グループが倒された。


『-戦闘終了っ!我々の勝ちだっ!』

『おおーっ!』

『…そこの者っ!』

「は、はいっ!」

 それが終わると、いよいよ本題だ。…とりあえず俺は、緊張した感じで待つ。

 すると、隊長はこちらに近付いてきた。…どうやら、直接話をしたいらしい。

「-…先程は助かった。礼を言おう」

「…あ、ありがとうございます。まあ、正直自分の助力は必要なかったですね」

「…そんな事はない。初撃はなかなか良かったし、その後の討ち漏らしの対応も見事だった」

 謙遜を口にすると、歴戦の風格を漂わせる隊長さんはきちんと褒めてくれた。…厳しい感じかと思っていたが、そうでもないのか?

「…とりあえず、落ち着いて話がしたいので降りるとしよう。

 -降下っ!」

『イエッサーッ!』

 そして、俺達は部隊と共に地上へ降りる。…その間、ずっと部隊から視線を感じた。やはりこちらの事が、かなり気になるようだ。


「-…では、話の続きだ。

 まずは、君の事を聞かせて欲しい」

「…申し訳ありませんが、この場では『フラッシュ』と名乗らせていただきます」

『……?』

「…なるほど。君も『ワケアリ』か」

 すると、隊長は妙に納得した様子で意味ありげな言葉を口にした。…つまり、俺の他にも素性を隠して行動している者が居るのだ。

 果たして、そいつは味方になってくれるのだろうか?

「では、せめて君が『混沌の勢力』と関わりがないか証明して欲しい」

「…っ!…では、こちらをご覧下さい」

『クキュウウッ!』

 そう言われたので、俺はイーリンという分かりやすい存在を見せる事にした。…そして、巫女の分身であるそいつは隊長のドラゴンの元に飛んで行く。


『-グルウウッ!?』

「…ん?どうした?」

『グルウッ、グルルッ!』

「………は?…この、不思議なワイバーンがあの『伝説の存在』の使いだと?」 

『グルウウッ!』

「…なんと」

 当然、隊長はまじまじとイーリンを見た。…まさか、目の前に創世龍の使いが居るとは思いもしなかったのだろう。

「…という事は、『貴殿』もか?」

「ええ」

 そして、隊長は再びこちらを見て確認してきたので俺は頷く。…当然だが、隊長は少し緊張していた。

『クキュウウ?』

「…あ、お疲れ様」

『クキュウウッ!』

 そんな中、使いはこちらに戻ってきた。なので労いの言葉を掛けると、使いは嬉しそうにしながらウィンドウの中に戻った。


『……』

「…諸君。この場で見た事は、他言無用だ。

 良いな?」

『…ッ!イエッサーッ!』

 隊長がそう言うと、全員敬礼をした。…これで俺の事が他所に伝わる事はないだろう。

「…お手数をお掛けしましたな」

「…いえ。…とりあえず、詳しい事は隊長殿の執務室でお話します」

「分かりました。

 …あっ、大変恐縮ですが門で通行手続きをしていただけますか?」

「分かりました。…後、出来れば普通に話して貰えますか?」

「…っ!…分かった。

 では、誰か彼についてやってくれっ!」

「はいっ!自分にお任せをっ!」

 すると、一人の若手隊員が率先して名乗り出てくれた。そして、彼は直ぐに黄色い鱗のパートナーと共にこちらに駆け寄って来た。

「良し。頼んだぞロイ」

「イエッサーッ!

 じゃあ、行きましょうっ!」

 オレンジの髪のロイさんは、元気良く敬礼し素早くこちらを見た。…どうやら、彼は基本的に誰に対しても礼儀正しい人のようだ。

「「お願いします」」

「はいっ!」

 そして、俺達は彼等と共に門に向かった。…当然そこで、彼はこちらが信用出来る存在であると語ってくれたので、俺達は変装したまま街に入る事が出来た-。


「-失礼します。『フラッシュ』さんと相棒の方をお連れしました」

『入れ』

 それから、真っ直ぐ防衛部隊の詰所に来た俺達はそのまま執務室に入る。…すると、隊の制服に着替えた隊長と女性の隊員が待っていた。

「…それでは、自分はこれで失礼します」

「ご苦労。…さ、掛けてくれ」

「「失礼します」」

 隊員がソファーに座るように言ったので、俺達はそっと座った。…そして、先に俺達は変装を解除する。

「…っ!?」

「…ま、まさか、英雄のお一人だったとは」

 当然、向こうはこちらの正体を見てとても驚いていた。…多分、変装しないで行動していたら直ぐに噂が街の外に広がっていただろう。

 やがてそれは敵の耳に入り、行動を掴まれやすくなる。…いくら便利なアイテムを持っていても、それじゃ意味がない。

「…いやはや。まさか、英雄殿がかの伝説の存在の使者をされていたとは」

「…驚きですね」

「…あはは」

「…それで、この街にお越しになった理由は何ですか?」

「…実はですね-」

 とりあえず本題に入ったので、俺はこの街に来た目標を話した。…すると、隊長と副官は顔を見合わせる。


「-…なるほど。『彼ら』を探してこの街に」

「…はい。もしかしたら、頼もしい味方になってくれると思いまして」

「…確かに、フリーの彼らならば貴方達の力になってくれるやもしれません。

 -…ただ、残念ながら彼らは少し前にこの街を旅立ちました」

「…っ!…やっぱりですか」

「…何日程前か分かりますか?」

 どうやら、来るのが少し遅かったようだ。なので相棒は、『計算』に必要な情報を求めた。

 すると、隊長は副官にアイコンタクトを出し彼女は素早く手帳を取り出した。

「…確か、『三日前』です」

「…恐らく、『最初の関門』を抜けセカンドエリアに入った頃合いかと」

「…そうか。…あ、そういえば彼らはどんな容姿をしていました?」

「…それが、良く覚えていないのです」

「……はい?」

 もう一つの情報を求めると、副官は困った様子で不可解な事を口にする。…当然、隊長は申し訳なさそうにしていた。

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