第12話 (革命前夜・セタガヤミノル)

サトウアイカと別れたのは、就職して1年経たないうちだった。

彼女はアメリカの父のツテで向こうで仕事をみつけると言った。勤めていた会社は、定められた規定に沿ってゴミ処理施設を建設・改修するだけなので、彼女が望むような『革新的な何か』を生み出すこととは違っていたらしい。分厚い参考書で資格の勉強をしていたけれど、かなり早い段階でそのモチベーションは失せていた。


セタガヤミノルは結婚も考えていた。

正直、彼女への気持ちが恋愛感情なのかわからない。彼女に対する性欲も、本能のでどころなんてわからない。

兄妹みたいな、家族みたいな、一緒にいることが自然な関係だったので、試しに

「結婚しよう」と言ったら、

「しない」と言われた。まだ若すぎるそうだ。

それなりにショックは大きかった。


一度決めたら納得するまで突き進む彼女を変えることはできないとわかってはいたけれど、自分の価値観や家族観など大きな影響を受けた彼女がいなくなることは、

ひとしきりアイカの胸を借りて泣いた。

彼女も情けない生き物を見るような目で、最後まで付き合ってくれた。





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